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「磁気カードの弱点」突いたATM14億円引き出し

浪川攻・金融ジャーナリスト

 5月15日に発覚した偽造クレジットカードによる現金自動受払機(ATM)からの不正引き出し事件が注目されている。総額14億円にのぼる不正引き出し額の大きさのみならず、犯罪手口が特異であるためだ。

 不正利用された偽造クレジットカードは、南アフリカの銀行が発行したクレジットカードの情報が悪用されていた。そのカードを使って「出し子」と呼ばれる犯罪の共犯者が日本国内のATMで不正にキャッシングによる資金引き出しを行った。出し子の人数は100名以上で、同時に一斉に引き出し行為に動いた。

 わが国では現在、今回悪用されたような海外カードが利用できるATMは限られている。セブン銀行の、いわゆるコンビニATMと、ゆうちょ銀行のATMがその代表格だ。そのほかにも、セブン銀行以外のコンビニATMの一部も海外カードの利用ができるようになっている。今回の不正では、これらのATMが狙われた。

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金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。