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iPad を親や祖父母に贈ろう

2012年1月 2日(月) 17:04:39

年末から義母(70代)が家に泊まりに来ている。

3年前に義父を亡くし、神戸で悠々自適のひとり暮らしをしている。
せめて年末年始くらいは、ということで、東京の家に来ていただいている。昨晩もボクの親の親戚とともに賑やかに新年をお祝いした。

かねてより、関西の義母と東京の我々との気軽なコミュニケーションのためにマックでのインターネットを勧めているのだが、どうしても抵抗感あるみたいである。まぁ確かにデスクトップやマックブックはちょっとハードル高いかも。だったら、と、実母(ボクの母)に贈ってたいへん喜ばれている iPad を勧めてみた。

「とにかく新しい機械はわからない」と、これもかなり難色を示されたが、無理矢理買ってプレゼントすることにした。

3Gモデル。これで無線LANもいらないし数多くの配線もいらない。部屋中どこにいてもネットに繋がるし、マウスがないから直感的に操作できる。細かい字も指で広げて大きくできる(ボタンがないというのがどれだけホッとするか)。軽いから地図帳がわりにどこにでも持って行ける。趣味の俳句でも、季語を調べたりサイトを見たりするのもワンタッチだし、何かと便利な魔法の箱だ。

でも、何かわからないときに質問できる人が近くにいないのは不安だろう。
まずはこの正月中、実際にいろいろ使ってもらって質問しまくってもらうことにした。

最初はおっかなびっくりだった義母も(どこか触って壊してしまったらどうしよう、とみんな不安になるのである)、「何か困ったらホームボタンで戻ってしまえばいい」と聞いて安心。いろいろ触りだした。

グーグルマップには驚いていたが、なによりも驚いたのはグーグルアース。
自分の関西の家が航空写真で詳細に見えることがとにかく驚きだったようだ。そしてそのまま iPad を傾けると3Dになってランドスケープ(山の景色など)が現れることにも驚く。まぁこれは普通にこういうテクノロジーに触れているボクらでも驚くのだけど。

他にも、サファリでの検索や、乗換案内や電卓や天気予報などの便利アプリなど、いじっているうちにどんどんその便利さを実感してくれたようである。うれしいな。まだまだオススメのアプリは山ほどありますよお義母さん。

そうそう、Facetime(いわゆるテレビ電話)も娘の iPhone 相手に実験成功した。
これからはおばあちゃんと孫でテレビ電話でコミュニケーションがとれる(笑)

大災害が起こって電話が繋がらないときのために、ネットで連絡がつくように、フェイスブックも勧めてみるつもり。ハードル高いかな。周りの同年代(70代)でフェイスブックやっている人も皆無だろうし。でも、近い将来、親戚とかがフェイスブックで繋がり始めると、それはそれで楽しくなる。

ボクが子どもの頃は、東京でも、正月と言えば親戚が全員集まるのが当然だった。
数十人での大宴会を毎年していたし、(お年玉集めの場としても)楽しみにしていた。ただそれも祖父母が亡くなったあたりからやらなくなり、いまでは葬式で顔を合わせるくらいである。まぁ少子化もあるんだけど、ここ数十年は「縁が壊れていく過程」だったとは思う。

でも、ソーシャルメディアで縁が復活したら、またそういうことも起こり始めるのではないかな。

無縁社会から多縁社会へ。
そんな入り口にもボクたちは立っている。これはみんながそれぞれ60代70代の親や祖父母たちに iPad みたいなタブレットPCを勧めることでグッと進んだりする。

「もう私にはそんな機械いらない」と逃げ回っている親や祖父母たちに勧めよう。
特に iPad はこんなに便利でわかりやすい。デジタルから縁遠い実母も義母も喜んで使っている。昨晩、YouTubeで高峰三枝子や淡谷のり子や二葉あき子の古い動画を見せて驚嘆した実父も、ようやく興味を持ちだした。

みんなで iPad を親や祖父母に贈ろう。

超高齢化社会を克服するひとつの鍵になるかもしれない。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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