少し時間が経ってしまいましたが、9月議会での討論。

市民の皆さんから頂いた声を反映させました。

 
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請願第5号、「清瀬の若者を戦地に送らないことを宣言する請願」に対し、賛成の立場より討論をいたします。

清瀬市の将来を担う、若者たち子どもたちに、戦場で武器を持ってほしくない、というのは、多くの清瀬市民の願いだと思います。



先日、安保法制が成立をしました。

徴兵制は日本の憲法で許されていないし、安倍政権も否定しています。徴兵制はすぐには始まらないかもしれません。


しかしながら一方で、経済的徴兵制という言葉があります。

アメリカでは、海兵隊のリクルーターが貧しい地域に行って、町をフラフラしている若者たちに声をかけるそうです。「いい仕事があるよ」「大学にも行かせてあげられるよ」と。

他に行き場のない若者たちは戦場に送られて、自分の意志とは関係なく人を殺しています。そして、心と体に一生消えない傷を負います。


同じことが日本で起こらないと言えるでしょうか。


今、日本の子どもの相対的貧困率は16%と先進国で最悪のレベルで、6人に1人が貧困状態にあります。清瀬の子どもたちももちろん、例外ではありません。

清瀬市に住む高校生の自宅に、自衛隊から募集要項が送られています。景気は回復しつつあるのかもしれませんが、今の日本は、若い世代の多くが非正規雇用で働かざるを得ない状況にあります。一方で、自衛隊に入れば特別職公務員として身分が保証され、厚遇される。


子どもたちは、戦場に送られるリスクがあっても志願するかもしれません。

実際に、経済的に余裕がなく、勉強しながら給料をもらえるから、という理由で防衛大学に進む若者もいます。日本には憲法9条があるから戦地に行くことはない、と言われて入ったのに、安保法制が出てきて、まるで詐欺だ。隊員の間に動揺が広がっている、という証言もあります。

既に経済的徴兵制は始まっていると言えないでしょうか。



貧困ゆえに子どもたちが戦場に行かざるを得ないような清瀬であってはならないと思います。



昨年7月、集団的自衛権行使容認の閣議決定を安倍内閣が行ったときに、私は、自分の息子が戦場で人を殺すという、リアルな白昼夢を見ました。

安保法制に反対をするのは、その時感じた、子どもたちを戦場に送るまい、という単純な思いからです。難しい理屈は必要ありません。戦争を必要としているのは、子どもたちではありません。



安保法案が参議院を通過した9月19日の東京新聞に、作家の林京子さんの言葉がありました。

「政治の人たちの言葉を聞いていて、ごまかすことだけはしないでほしいと思います。戦争がしたいならしたいとおっしゃればいい。選ぶのは私たちです。正確な日本語で、端的に分かる言葉で、ご自分の政策を語っていただきたい」と。今の政権の態度を、的確に表した言葉だと思います。



今回、この討論の原稿を書くにあたって、市内の子育て中のお父さんとお母さんにそれぞれ相談し、意見を聞きました。

そしたら、「ぜひ、盛り込んでほしいことがある」と言われました。

「政府は、説明責任を果たしていない。納得の行く説明が聴けていない。説明が不十分なままに強行採決してしまった。だから、不信感が募り、このまま戦争に突き進むのではないか、と思ってしまうんだ」と、そのようにおっしゃっていました。

議員には、市民の声を聴き、市民が納得の行く説明をする義務があります。



戦争をしないための法案だという立場に立つ方もいらっしゃると思います。しかし、市民の多くはその説明に納得をしていません。



日本が攻撃されたら個別的自衛権で対応できます。安倍政権が敢えて集団的自衛権の行使にこだわるのは、他国と他国の戦争に積極的に関わっていこうという意図、そして遠い戦場に日本の若者を送ろうという意図があるからではないでしょうか。



安倍政権は今年の7月から、急に、仮想敵国としての中国の脅威を口にするようになりました。

ナチスドイツの、ヒトラーの参謀、ヘルマン・ゲーリングは次のように言ったそうです。

「もちろん、普通の人間は戦争を望まない」。「しかし最終的には、政策を決めるのは国の指導者だ。国民を戦争に参加させるのは簡単なことだ。我が国が攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張するだけでいいんだ」と。


日本がどこに向かおうとしているのか、歴史から学ぶべきです。



清瀬市民、そして清瀬の子どもたちは、この請願に、清瀬市議会がどのような判断をしたか、いずれ知ることになります。結果は、記録に残ります。

市民が納得の行く説明とともに、次世代に対し責任ある判断を望みます。


以上、請願第5号、清瀬の若者を戦地に送らないことを宣言する請願の賛成討論と致します。




2015929日宮原りえ