マキャベリ流-是非に及ばず

NOBUNAGA(48)秀吉編II 歴史から学べ。最強となったときに国の破滅が始まる

名護屋城天守台跡から玄界灘をのぞむ=佐賀県唐津市(関厚夫撮影)
名護屋城天守台跡から玄界灘をのぞむ=佐賀県唐津市(関厚夫撮影)

 JR東京駅から博多駅まで新幹線のぞみ号で約5時間。そこでJR筑肥線直通の福岡市地下鉄空港線に。途中、唐人町や加布里(かふり)をはじめ、ご当地感豊かな名前の駅を過ぎてしばらくすると群青を基調とした海岸線が続く。

 特別名勝にちなむものの残念ながら車窓からはその景色を拝むことができない虹ノ松原駅のあたりから市街地の雰囲気が漂い、計約1時間半で唐津駅に到着だ。

 そこからさらに車を走らせること約40分。波戸(はど)岬(佐賀県唐津市)の丘陵地に、目指す国指定の特別史跡・名護屋城跡がある。その敷地は甲子園球場の総面積の4倍強、約17万平方メートルもあったという。まずは一路、天守台跡へ-。

 玄界灘をのぞむ絶景が広がっていた。約25キロ先に浮かぶ壱岐島がうっすらと見える。

 平日の夕方近くだったからだろうか、人気(ひとけ)がない。が、16世紀末、一帯の人口は20万を超えた。そして425年前、豊臣秀吉はここを拠点に東アジアの統一を目指す文禄の役を開始する。

 《領土だけふやすことに心を奪われて、国力充実をおろそかにする者には、破滅が待ちかまえている。(中略)うまく統治が行なわれている国家にとっても、いたずらな領土拡張は、なみなみならぬ害をこうむる》(※1)

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