The Muse:前職で、上司とマーケティング部門の同僚と会議をしていた時のことです。その会議の目的は、マーケティング全体、特にソーシャルメティアの戦略を話し合い、もっと合理的に簡略化できるやり方を見つけることでした。とても小さな部署だったので、時間と労力を節約できるような方法があればと、みんな熱心に聞いていました。

すると、上司が「Facebookの投稿を、自動的にすべてTwitterに投稿するプラットフォームがあります。これを使いましょう。そうすれば1つのアカウントを管理するだけで済みます!」と割って入りました。

私は会議室のイスから滑り落ちそうになりました。私は特段ソーシャルメディアに詳しいわけではありませんが、それが酷いアイデアだというのはすぐにわかりました。FacebookとTwitterそれぞれのアカウントのフォローしている人たちは、間違いなくまったく違う内容を期待していました。正直に言って、このような戦略を取っている会社を見ると、私は手抜きをしているだけだと思っていましたし、私たちが目指しているものではありませんでした。

私は窮地に立たされました。上司は、私がまったく酷いアイデアだと思っていたものを提案したので、何とかしてそれを回避する発言をしなければなりませんでした。しかし、「そのアイデアは馬鹿げてますよ!」などと言うことはできません。

誰でも、同じような状況になったことが一度や二度はあると思います。(私の場合は、同じ上司のせいでかなりの頻度でありますが)上司だからといって、必ずしも常に素晴らしい提案をするわけではありません。ひどいアイデアを提案する上司もいます。

しかし、絶対に素晴らしいアイデアだと思って熱弁する上司に対して、黙っていることしかできず、しかも厄介な状況になりそうな場合は、一体どうすればいいのでしょう? 意見を言うべきでしょうか? それとも問題が起こらないよう、保身のために上司の意見にうなずくべきでしょうか?

アイデアの具体的な内容や上司との関係性にもよりますが、上司が酷いアイデアを提案した時の、ピンチを切り抜けるための4つの戦略がありますのでご紹介しましょう。

1. 質問をする

ブレインストーミングのような意見を出し合う会議の場合は特に、論理的な根拠をあまり考えずに、中途半端なアイデアを出すことがよくあります。完全に即席のアイデアを提案して、イノベーティブでクリエイティブな気分に浸りたくなります。誰もがやったことがあるはずですし、それは悪いことではありません。

では、上記の上司がやったことについてはどうでしょう? ほとんどの場合、上司がアイデアを出すのは、反応を見たり、意見を出してもらうためだと覚えておいてください。上司がやっているのは「このアイデアに伸るか反るか」というような、厳しい要求ではありません。

この場合、上司の提案に対して質問をし、具体的なアイデアを明確にしてもらうのが特に有効です。そうすることで、上司にその瞬間の思いつきや感情ではなく、状況に合わせてアイデアを考えてもらうことができます。直接上司のアイデアを批判せずにアイデアを潰すには、大抵これで十分です。

2. 欠点を指摘する

上司が自分のアイデアは最高だと考えている状態で、そのアイデアが明らかに失敗すると思う理由について、具体的に意見を求められたとしましょう。今こそ、そのアイデアの欠点を指摘する時です。

当然ですが、敬意を払いつつ、失礼のないように言いましょう。上司のアイデアがどんなに突飛でも、論理的な意見については聞く耳を持っている冷静な人間のはずです。

上記のソーシャルメディアのアイデアの場合は、私はこのように言いました。「私たちの時間を節約できるよう、集中管理型のプラットフォームを見つけてくれたことに関しては、本当に感謝しています。ただ、すべてのSNSで一律に同じ内容をポストしていたら、フォロワーやお客さんが私たちの会社に興味を失ってしまうと思います」

最初はポジティブな言葉から始めるのがポイントです。上司のアイデアや意見にも、良い面を見るけることはできるはずです。それから、アイデアの一番大きな欠点をひとつ上げて(上司をこてんぱんにやっつける必要はありません)、自分の考えを説明しましょう。より建設的な議論にしながら、自分の意見を知ってもらうこともできます。

3. 似たような別のアイデアを出す

上司のアイデアは酷いものだとわかった上で、それを改善するようなアイデアがあるとしたら、それを出しましょう。あなたのアイデアが、上司が出したアイデアを元にしたものであれば最高です。

上記のソーシャルメディアのアイデアの場合は、この戦略を使って私はこのように言いました。「同じ内容をすべてのSNSにポストするのはどうかと思いますが、集中管理型のプラットフォームを使うというアイデアは本当に良いと思います。使えそうなプラットフォームをチェックして、どれくらい能率が上がるかを見てみるのはどうでしょうか。私たちのニーズに合いそうなものを調べてみたいと思います」

これで、上司のアイデアから実際にひとつを採用したことを強調し、上司の信頼を保つことができます。同時に、上司のアイデアには少し変えた方がいいところがあると、あなたが考えていることも明確になります。

さらに、自分のアイデアを実現させるために自ら動くことにもなります。大変な仕事を進んで引き受けると、他の人たちも喜んで協力してくれます。

4. 何も言わない

これまでの3つの戦略は効果があると思います。しかし、これまでの経験ややりとりを通して、上司が建設的な批判にどのような反応をするかわかっている場合、反対意見を聞いた途端に拒絶するような上司であれば、黙っておいた方がいいでしょう。

結局のところ、上司は上司です。反対意見を言うことで、自分にとって何かメリットがある可能性があるのか、決めるのはあなたです。何もメリットがないのであれば、ここは黙っておきましょう。

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上司が提案したアイデアが最悪のものだった時に、それを伝えるのは気まずいとしか言いようがありません。自分の意見を思わず言いたくなる気持ちはわかります。しかし一方で、上司との関係がぎくしゃくしたり、それで傷ついたりもしたくないでしょう。

そういう時は、ここで紹介した戦略を試してみてください。自分の社会人としての評価を傷つけることなく、より良い提案をすることもできるかもしれません。

4 Strategies to Try When Your Boss Suggests Something Truly Terrible | The Muse

Kat Boogaard(原文/訳:的野裕子)

Image by Nick Shepherd via Getty.