2014年7月2日水曜日

就学援助の縮小が止まりません…

先日、こういった新聞記事で松原市の名前が挙げられていました。

就学援助対象、71自治体で縮小の恐れ 横浜・富山など - 朝日新聞デジタル(archive)

生活の苦しい家庭の小中学生に学用品などの費用を補助する「就学援助」の対象者が、全国の71自治体で縮小される可能性がある。(中略)対象の線引きが、昨年度から段階的に引き下げられている生活保護の基準額と連動しているためだ。

結論からいうと、26年度は縮小されることなく、むしろ基準額が少しだけ拡充されました。
ほっと安心…と言いたいところですが、さすがは子育て世帯に厳しい松原市。その陰で支給額をバッサリ削るという暴挙に出ていたことが明らかに。また、さかのぼって調べてみると、基準額はむしろ縮小していることも分かりました。

かなり長い記事になってしまいましたが、それは怒りの表れです。分かりやすく書いたつもりなので、ぜひ読んでみてください。



はじめに、6月に配布された就学援助の「お知らせ」プリント(平成26年度版)をご紹介します(クリックで拡大)。



注目すべきは、世帯全員の合計所得額がこの額以下なら援助が受けられるという「基準額」と、援助の内容が分かる「援助費目」です。
比較対象として、平成22年度のデータと比べてみましょう。

●平成22年 P1 P2

まず、「基準額」ですが、父・母・子ども2人の4人世帯では…

2,541,600円 → 2,474,400円

67,200円の縮小と出ました。たいした額ではないかもしれませんが、この処置によって援助を受けられなくなった家庭があると想像すると…たまりませんね。

次に、「援助費目」はどうでしょうか。分かりやすいように、表を抜き出して貼りつけてみます。上が平成22年度、下が平成26年度です。




これはひどいですね…。新入学学用品費はばっさりカット、修学旅行費などの上限額も地味~に下げられています。

というわけで、この間の変遷が分かるデータを、市役所の教育委員会教職員課で(ものすごーくイヤな顔をされながらも)入手したのでアップしておきます。

●平成23年度 P1 P2
●平成24年度 P1 P2 P3 P4
●平成25年度 P1 P2 P3 P4

細かい部分は直接確認していただきたいのですが、気がついた変更点は以下のとおり。

・23年度から申請期間が短縮される
・24年度から基準額(4人世帯)が89,600円縮小され、小中の修学旅行費の上限もダウン
・25年度から林間学舎費が(宿泊を伴う)校外学習費に変更され、小学校の上限がダウン。中学校の修学旅行費の上限も二年連続でダウン。
・26年度から基準額(4人世帯)が22,400円拡充されたものの、新入学学用品費(小学校19,900円・中学校22,900円)がカット

松原市の就学援助は、年々縮小傾向にある ということで間違いなさそうです。



では、松原市にある小・中学校の生徒数や、就学援助を受けている生徒の割合などはこの5年でどう変わってきているのでしょうか。市政概要や統計、議事録など様々な資料をもとにして、こんな表を作ってみました。

小学生 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度
生徒数 7,317 7,066 6,709 6,427
認定数 1,785 1,724 1,565 *1550 *1,379
認定率 24.4% 24.4% 23.3%
予算(万円) 11223 10882 9630 *10038 *8728

中学生 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度
生徒数 3,714 3,753 3,633 3,617
認定数 1,018 980 941 *959 *912
認定率 27.4% 26.1% 25.9%
予算(万円) 6058 5804 8470 *9454 *8482
注)*マークは当初予算より、予算額は万円未満切捨て

こうやって見ると、小学生の減り方がかなりヤバイですね…。

それは(ここでは)置いておいて…
中学生分の予算が24年度に跳ね上がっているのですが、これはこの年から中学校給食を一斉導入した影響かと思われます。どうもこのあたりが縮小傾向の一因にもなっていそうですが、結局のところ、26年度の小・中あわせた予算額は22年度よりも少なくなりそうな感じ(当初予算は多めに見積もっているので)。

子どもが減ったら予算規模も減らす…なんてことをしていたら、そりゃ人口も減る一方だわって話ですよね。



さて、この先も(松原市のことですから)こっそりばっさりと改悪が進められるとは思うのですが、他市の状況などを参考にして、「松原市の就学援助はどうあるべきか」を考えてみましょう。
さいわいにも、大阪社保協さんが「2013年度 子育て支援・こども関係アンケート 就学援助」というファイルで大阪府下の自治体のデータをまとめてくださっているので、これを参考に話を進めていきたいと思います。

大阪社会保障推進協議会 各種データ

・基準の引き上げ

「いきなり現実的じゃないことを言い出したな…」と感じられるかもしれませんが、実はこれ、群馬県の太田市(人口約22万人)が実際にやってるんですよね。

太田市、就学援助を拡大 低所得世帯の負担軽減 9月から - MSN産経ニュース [archive]

生活保護の支給基準額を基に市が算定している家庭の収入を現在の1・2倍から1・6倍に拡大し、生活保護世帯に近い低所得世帯の負担を軽減するとしている。
清水市長は「財政負担は5千万円になるが、子供には将来があり、そういうところにお金を掛ける」と話している。

松原市の基準額は「生活保護基準の1.1倍」という計算で出されているのですが、これはちょっと厳しめの数字です。
特別な事情があれば、基準額を超えていても認定するケースがある…と教育委員会は強調しますが、平成25年度の場合、小学校で124名申請に対して79名、中学校で97名申請に対して65名と、6割しか認定されていないのが現実。救済する気が本当にあるなら、市の都合でどうにでもなるやり方でなく、基準の引き上げで対応すべきではないでしょうか。

また、急な引き上げが難しいなら、まずは大阪市のように借家住まいの場合は基準額を高くする(4人家族の場合=借家331万円・持ち家266万円)といった条件を設定するのも手でしょう。

・新入学学用品費の復活および援助費目の拡充

これは言うまでもないですね。

・支給月を少しでも早める

生活の苦しい家庭を援助するのが目的なのに、前期(4~9月分)の振込みが10月末って…遅すぎです。大阪社保協の事務局長さんがブログ( →LINK)に書いてはりますが、池田市では4月末に支給されているそうで、ここでも松原市は最低ランク…

・しっかり広報する

保育料の値上げの記事( →LINK)でも書きましたが、ここをちゃんとしてないからダメ…というか、市民だけじゃなく議員さんすら騙していたようなので、ほんとにどうしようもない…。



就学援助の詳細をホームページにアップしていない自治体は松原市だけでもないのですが、こんな有様だと「家賃が安いから…と引っ越してみたら、就学援助を受けられなくなるわ市民サービスは悪いわで出費がかさみ、かえって損をした」なんてことが起こっていそうで、おそろしいです…。

一日も早く、「松原市 就学援助」で検索するとこのページが上位に出ますように…。



それにしても。

調べれば調べるほど「義務教育に関わることなんだから、どこの自治体に住んでいても同じ処置が受けられるのが当然なんじゃないか」と思うわけなんですが、実はこの就学支援という制度、平成17年度から国の補助金が大幅に減額されていたとのこと。
結果、大阪社保協さんのデータにあるようなバラつきが生まれてしまったわけですが、ある意味ではそれぞれの自治体の取り組みが分かるバロメーターにもなっているわけで、やっぱり松原市は子育て世帯に厳しいと再確認した次第です。

1 件のコメント :

  1. お知らせいただきありがとうございます。
    この件、けっこう話題になっているようで、当ブログにも
    検索でやってくる人がどっと増えました。
    記事はそのうち消えると思うので、ここに転載しておきます。

    松原市 新入学生学用品費廃止
    08月28日 07時00分

    経済的に困窮している家庭の子どもに支給される「就学援助」制度のうち小中学校の1年生に支給する新入学生のための学用品費を大阪・松原市は財政の悪化を理由に、今年度から廃止しました。

    「就学援助」は、経済的に困窮している家庭の小中学生に、市区町村が給食費や学用品の費用などを支給する制度でこのうち、新入学学用品費は小学校1年生と中学1年生はランドセルやカバン、それに制服の購入など入学に伴う費用がかかるとして国が自治体に支給するよう促しています。
    この新入学学用品費について大阪・松原市は昨年度まで小学1年生に1万9900円、中学1年生には2万2900円を支給していましたが、今年度から、廃止しました。
    理由について市の教育委員会は、「財政状況の悪化などを総合的に勘案した」としています。
    NHKが大阪府内の自治体に取材したところ新入学学用品費を廃止したのは松原市以外にはありませんでした。
    文部科学省は、「新入学学用品費は経済的に厳しい家庭の子どもにとって必要と考えている。スクールソーシャルワーカーを派遣して活用できる別の制度を知らせるなど支援を検討したい」としています。

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