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台湾・蔡総統「圧力に屈しない」 双十節で演説

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【台北=伊原健作】台湾の蔡英文総統は10日、双十節(建国記念日に相当)の演説で「最近数カ月間で両岸(中台)関係には起伏があった」と中国側からの圧力が強まっているとの認識を示した。「我々の立場は不変であり、圧力に屈服することはない」とも述べ、台湾の主権を尊重するよう中国側に改めて呼びかけた。

台湾の双十節は、総統が自らの施政方針について住民や国際社会に対し直接メッセージを発する重要な機会だ。台北市の総統府前で行われた式典には1万1千人が集まった。台湾独立志向を持つ民主進歩党(民進党)政権の発足から4カ月あまり。中台統一を目指し、台湾独立志向を警戒する中国側との関係の冷え込みが目立つなか、中台関係に関わる蔡総統の発言に注目が集まった。

蔡総統は演説で中国側に対し、「『中華民国』が存在する事実と、台湾の人々が民主制度を信じていることを正視するよう呼びかける」と述べた。台湾は国民党が中国大陸時代から名乗る「中華民国」を国号として使い続けている。台湾独立に動かない姿勢を改めて中国側に示した格好だ。

ただし同時に、民主主義に基づく統治実体である「中華民国」の存在を認めることも求めている。将来の統一を見据える中国側に対し、台湾側の主権を守る姿勢を示してけん制したとも言える。

また、中国側が対話の条件とする「(台湾は中国と一つの国だとする)一つの中国」の原則に関しては、5月の就任時に表明した立場を繰り返した。中台双方がこの原則を口頭で認め合ったとする「92年コンセンサス」を完全には認めなかったが、歴史的な経緯を尊重すると表明し関係の発展を呼びかけた。

ただ中国側は「92年コンセンサス」を認めなければ当局間の対話をしない姿勢を崩す気配はない。演説での内容が従来通りの表現にとどまったことで、中台の対話の停滞はより長期化する見通しになった。

蔡総統は演説で「米国や日本、欧州など民主主義国家との関係は(新政権が発足した)5月20日以降、強くなった」と成果も強調。「圧力を受けたとしても、すべての主要な民主国家とともに努力し、人類に対し有意義な貢献をすることを望む」と話した。

実際、中国からの圧力で9月にカナダで行われた国際民間航空機関(ICAO)総会には出席することができなかったが、日米両政府をはじめ台湾の出席を支持する声が相次いでいた。

台湾当局によると、この日の式典には海外から約360人の来賓が出席。そのうち日本からは全体の7割超に当たる約270人と、突出して多かった。

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