南條範夫『夢幻の如く』(徳間文庫)を読む。
裏表紙の内容紹介には、こう書かれています。
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十一代将軍家斉と、
時の老中で寛政の改革の推進者・松平定信は奇しき縁にあった。
一橋家から将軍位に就任し側妾四十人、生した子五十余人、
絢爛の大奥絵巻を飾った家斉の好色絶倫の生涯。
一方の定信は、八代吉宗の孫ながら一介の白河藩主。
性急なまでに倹約を奨励し、ために老中を無念の失脚。
その生涯に女性の影は薄い。ともに長命した二人の相克を軸に、
徳川治世の爛熟と終焉の予兆を描く力作時代長篇。
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松平定信が登場するのは、冒頭から3分の1辺りまで。
将軍、そして大御所として54年間君臨した徳川家斉の治世
「大御所時代」がこの作品のメインです。
『十五万両の代償』とは異なり、「大御所時代」に起きた事件を
家斉の女性関係を交えながら描いていきます。
家斉の私生活、特に女性関係という下世話な部分への興味で
最後まで読む続けることができます。
四十人の側妾を抱え、五十四人の子を生し、
血統を残すという君主としての役割を果たした家斉。
従一位太政大臣として栄華を極めた家斉の生涯も、
タイトルのように「夢幻の如く」終わってしまいます。
地位と権力とは何なのか、考えさせられます。
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