元「法律新聞」編集長の弁護士観察日記 「離婚」に対する弁護士の本音

そして、ブログ氏は弁護士としての本音を、次のように述べています。

  「離婚なんて、結論が見えているのに、依頼者が納得しないがために余分な手間がかかり、また相手方から変な恨みを買ってしまうリスクのある事件だ。料金の大部分は、グチ聞き代と危険手当。こんなにやり甲斐のない事件もない」
  「家事事件全般に言えることだが、弁護士にとって、とにかく調停はかったるい。私も、調停段階での受任は躊躇する。法律相談を受けた際は、調停段階は自分で対応するよう助言する。やりたくないのも本音だが、同時に、調停制度は弁護士無しで進めることを想定しており、大半の調停で現に弁護士が就いていないのも事実である」
  「どうしてもと言われれば受けるが、弁護士費用はそれなりに上乗せする。調停は、1回あたり2時間くらいの枠であり、付き合っていると、本当に、時間を浪費していると感じる。せめて本でも読んでいたいのだが、横に依頼者がいるから、そうはいかない。調停は、調停委員が見限るまで継続されるので、下手すると5、6回も開かれてしまう。このため、独自に、早期に見通しをつけるのが重要だと思っている。やるだけ無駄なら、1、2回で不調となるように持って行かなければならない」

  「離婚専門」を掲げる弁護士は、実はこの辺をビジネスと割り切ってやっているのではないかという推測とともに、一方で、離婚問題をライフワークとしている弁護士は、「法律家の枠を超越している」との評価も下しています。ただ、結果としての落としどころは、前記した形で変わらないから依頼者の過剰期待は禁物だ、と。

 こう見てくると、弁護士に向かって「離婚にいこう」と言っているような、冒頭の事件分野開拓の呼びかけが、実はどんな弁護士の意識と本音に向けられているのかが分かります。「逆恨み」のリスクと、「法律家の枠を超越した」サービスに目をつぶれば、まだまだいけますよ、と。ただ、時間の浪費が死活問題につながる弁護士にあっては、相応の割り切ったサービスも予想されるという話です。

 前記ブログ氏も言っていますが、それでも精神的に弱い人や、不安な状態にいる人が、弁護士にそれこそ「人生相談」も期待しつつ、高い費用を払ってすがるメリットがないとはいえません。ただ、依頼者市民としては、少なくとも実は結論がみえていることと、前記弁護士の本音を知ったうえで、それでも弁護士を頼んだ方が得なのかを、弁護士側の皮算用がくっついた勧誘に、惑わされずに判断する必要があります。

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