小規模企業共済制度のメリットを生かし、節税しながら退職金を作ろう!

「小規模企業共済」という制度があり、50歳で個人事業主となった私にピッタリの内容なので加入しました。

自らの資金を「掛金」として長期間、継続して払う(積み立てる)ので、自分なりにそのポイントとメリット、デメリットをまとめました。ただし、数字や内容は 2014年5月30日現在で調べたものです。

「小規模企業共済制度」とは

大切なお金の話なので、公式サイトで最新情報を確認するのは当然です。

20140530-01

その中で「制度の概要」として、以下のように書かれています。

「小規模企業共済制度」は、個人事業をやめられたとき、会社等の役員を退職したとき、個人事業の廃業などにより共同経営者を退任したときなどの生活資金等をあらかじめ積み立てておくための共済制度です。「小規模企業共済法」に基づき、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。

 

要するに、個人事業主が事業を廃止したり、小規模企業の役員が退任したときに、それまで自らが継続して積み立てた「掛金」の額と期間によって決まる「共済金」を受け取ることができる制度であり、この「共済金」がいわゆる個人事業主の「退職金」がわりになるわけです。

国の法律「小規模企業共済法」に基づく制度で、国が全額出資している独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しており、昭和40年に発足、平成25年3月末現在で約157万人が加入、資産運用残高は約8兆円と実績十分です。

とはいえ、将来も国が制度を維持できるのかは分かりませんが、それを言い出したら年金も含めて何もできなくなります。

 

加入資格は、従業員数が20人以下(サービス業、商業では 5人以下)の個人事業主および会社の役員などになります。

私のように独立して、ひとりで個人事業主という人ももちろん加入できます。

小規模企業共済のメリットは

最大のメリットは「掛金」が全額、所得控除となることでしょう。パンフレットで示された例によると、課税所得が 400万円の個人事業主が、小規模企業共済で掛金月額 3万円を 1年積み立てた場合、掛金総額は 36万円となりますが、それによる所得税と住民税に対する節税額はその約 3割の 109,500円となります。

もちろん、課税所得と掛金によって変わるので、以下のシミュレーションをやってみるといいでしょう。課税所得が大きければ節税効果も高くなります。

 

さらに「共済金」も「予定利率1.0%」という金利で計算され、これもパンフレットで示された例によると、掛金月額 3万円を 15年積み立てた段階で個人事業を廃業した場合、一括受取額は 6,033,000円となり、積立総額 5,400,000円より 約11.7% 増、さらに税法上も「退職所得扱い」となります。

「共済金」の受け取りは一括だけではなく、10年分割(40回)、15年分割(60回)にすることもでき、この場合はさらに受取総額は増え、税法上も「公的年金等の雑所得扱い」で優遇されます。

これらの数値は以下のパンフレットを参照にしました。表や説明がまとまっており、とても分かりやすいです。

 

掛金月額も 1,000円から 7万円までの範囲(500円刻み)で選べ、課税所得が増えてきたら掛金を増やすこともできるので無理なく続けられそうです。

そして、いざという時は「契約者貸付制度」があり、納付した掛金合計の範囲内(7~9割)で事業資金等の貸付(担保・保証人は不要)も受けられます。

至れり尽くせりですね。

小規模企業共済のデメリットは

個人事業の廃業ではなく、途中で解約する場合、「共済金」ではなく「解約手当金」となり、金利計算されず、240か月(20年)未満の場合、掛金合計を下回ることになります。

解約手当金の支給率は、掛金の納付月数によって変化します。

  • 12か月未満は掛け捨てとなり、支給率は 0%
  • 12か月以上 84か月(7年)未満までは支給率80%
  • 84か月目から 6か月単位で支給率が上昇
  • 240か月(20年)以上 246か月未満で100%
  • 246か月以降も段階的に増加し、最高 120%

つまり 240か月(20年)未満の場合、解約手当金は掛金合計を下回るのです。

さらに「解約手当金」は「一時所得」として計算されるため、所得課税の面でも不利になります。

もちろん、それまで得てきた所得控除による節税メリットもあるので、一方的なデメリットとはいえないでしょう。

 

これらのことより、あえてデメリットを挙げるとすれば

  • 全額掛け捨てとなる 1年未満で解約
  • 「総掛金-解約手当金」が節税額を越える状況で解約

というように「解約した場合」に限られます。つまり

毎月の支払いが厳しいときは掛金を最低月1,000円まで引き下げ可能で、一時的に資金が必要なときは「契約者貸付制度」を利用できるため、とにかく「小規模企業共済」は「解約しないこと」が大切

 

ある程度の課税所得があり、最初から短期解約を見込んでいなければ、ほとんどデメリットのない制度といっていいのではないでしょうか?

ちなみに私は最初に 1年分を払ったので、その時点ですでに最悪の「12か月未満の掛け捨て」はなくなり、解約しても最低 80% は支給されます。

「生涯現役」を目指す場合

調べる中で気になったのが「共済金」をもらえるのが「個人事業主を廃業したとき」とすると、私のように生涯現役を目指し、可能な限り個人事業主を続けたいケースです。途中で解約するしかないのでしょうか?

ここで「個人事業主を廃業したとき」の共済金は「共済金A」ですが、実はもうひとつ「共済金B」という種類があります。これは

・老齢給付(65歳以上で180ヶ月以上掛金を払い込んだ方)」

という条件になっています。

 

つまり、50歳で個人事業主となった私が、今年から「小規模企業共済」に加入すれば、65歳で 180か月(15年)を迎えることとなり、個人事業主を続けたままでも、それ以降はいつでも「共済金B」を受け取れるということになります。

「老齢給付」とは、掛金を15年(180ヶ月)以上(※)払い込んでいる方で、かつ年齢が満65歳以上の方であれば、事業を続けていても受け取ることができる共済金です。

※ 掛金の払込みを止めていた(掛止め)期間を除きます。

 

「老齢給付」の「共済金B」は、「共済金A」よりも額は少なくなりますが、これから15年、個人事業主として頑張れば、65歳になったら事業を続けたままでも慰労金のような感じで受け取れると考えると嬉しくなります。

まさに 50歳で独立した私のためにあるような制度です。

もしも「法人成り」した場合

個人的には、いまのところ法人にするつもりはないのですが、課税所得が増えてくれば法人化を検討するかもしれません。ところが「個人事業を法人成りして、その法人の役員になった場合」に受け取るのは「解約手当金」となって一時所得となってしまいます。

すると個人事業を数年で「法人成り」した場合、もったいない気もしますが、調べてみると「法人成り」して、その会社の役員になっても「小規模企業共済」は継続できるようです。

  • 中小機構:小規模企業共済: 個人事業を法人成りして、その法人の役員に就任した後に共済契約を続ける場合、どのような手続きをすればよいですか。

 個人事業を法人成りし、その法人の役員になった場合、法人の規模が共済の加入条件を満たしていれば、掛金納付月数の通算の手続きをすることで、新たな共済契約を結び、これまでの掛金納付月数を引き継ぐことができます。

ということで、このケースでの心配も払しょくできました。

まずは 65歳まで続けてみます!

とにかく、わざわざ退職してまで個人事業主になったのですから、生涯現役でやりたいと思っています。そんな中で大きな節税にもなり、65歳以降には「共済金B」が受け取れる「小規模企業共済」はとても励みになります。

まだまだ個人事業主になりたてで、数年後どうなっているか分かりませんが、まずは 65歳までは元気に続けていこうと目標ができた気がします。

 

私なりに勉強して記事にしてみましたが、間違いや勘違いがあるかもしれません。もし、そういった箇所がありましたら、遠慮なく TwitterFacebookページでご指摘ください。都度、必要であれば訂正、追記させていただきます。

 

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