SweetRainのお客様の平均年齢はかなり高いと思う。
先日、店内のお客様を眺めていると平均年齢はだいたい50歳代半ばくらいかなと思った。
僕が若い頃には、ジャズ喫茶やジャズライヴの客は、もっと若い人が多かったような気がする。
(もう40年も前の話ですが・・・)
超高齢化社会の時代を迎えているので、ある程度ジャズファンが高齢化することは自然なことだとは思う。
ジョン・コルトレーンが来日し、ジャズが熱く燃えていた1966年の日本は20歳代の人口の比率が17%で65歳以上が6%だった。
そして、現在(2010年の国勢調査結果)は、20歳代が11%で65歳以上が23%である。
その高齢化の程度を反映したくらいにはジャズファンも高齢化しても仕方ないと思う。
しかし、それ以上に高齢化していないだろうか?
ジャズを演奏する若手のプレイヤーは増えているように感じるが、ジャズを聴く若者は減っているように感じる。
まぁ、それは当店だけのことで、他のジャズのお店は若者で溢れているのかもしれないが・・・
日本のジャズファンの平均年齢についての調査結果は少し探してみたが見当たらなかったので、データをもとに言うことはできないが、どうも、人口全体の高齢化の比率以上にジャズファン(ジャズを聴く人、特にライヴハウス等に出かけて聴く人)の平均年齢は上がっているような気がする。
アメリカのジャズの平均年齢について面白い記事があったので、そこから少し引用してみたい。
2009年のウォール・ストリート・ジャーナル日本版に書れた「ジャズは救えるか?」という記事である。
引用①
「(国立芸術基金が行った、市民の芸術参加に関する調査結果によると)ジャズの聴衆は、減少しているだけでなく高齢化も進んでおり、そのペースは速い。聴衆の年齢(中間値)は、82年の29歳に対し、02年は46歳だった。
・中高年が演奏を聞く回数も、数年前に比べ減っている。45~54歳の場合、08年に演奏会を訪れた割合は9.8%と、02年の13.9%から30%減少している。
・大卒の成人に限っても、82年の19.4%に対し08年は14.9%と、聴衆の減少が目立つ。
こうした結果から、この国ではジャズの聴衆が警戒すべきペースで高齢化し減少していることがわかる。ただ、現在の聴衆の年齢は、クラシック音楽の聴衆(08年が49歳、82年が40歳)、オペラ(同48歳、43歳)、ミュージカル以外の演劇(47歳、39歳)、バレエ(46歳、37歳)と大差ない。これとは対照的に、82年の調査では、こうした高尚な芸術に比べジャズファンの年齢層はずっと低かった。
引用終わり
アメリカではジャズの聴衆の年齢(中央値)は1982年の29歳から2002年には46歳に上昇したというのである。
一方、クラシック音楽の聴衆は40歳から49歳、オペラは43歳から48歳であり、ジャズに比べると高齢化していない。
というよりも、ジャズの聴衆は飛びぬけて若かったのである。
これは、日本でも同じような状況ではないだろうか?
根拠はないが、ジャズの店をやっていて、なんとなくそう感じる。
その原因を、この記事では次のように分析している。
引用②
「これは何を意味するのか。平均的なアメリカ人は、今ではジャズを高尚な芸術様式ととらえているようだ。~中略~ジャズは1930年代から様変わりしている。当時、ルイ・アームストロングのレコードは飛ぶように売れた。ただ、買ったファンは、それが“サッチモ”のレコードだという以外ジャズのことなど何も知らなかった。20世紀最大の音楽家の1人でしゃがれた声を持つクルーナーのアームストロングは、ポップスターとしての顔も持ち、映画でビング・クロスビーやマエ・ウエストと共演している。
50年代序盤になってもジャズはまだ、おおむね純粋なポピュラー音楽のカテゴリーにあった。しかし、60年代には、ジャズはとっつきづらいコンサート音楽に発達し、その複雑さから、ロックやソウルに熱中する若者の反感を買った。そう、ジョン・コルトレーンの「至上の愛」は、1965年のジャズ・アルバムとしては非常に売れ行きがよかったが、子どもの大半は「カリフォルニア・ガールズ」や「ほほを流れる涙」の方を好み、それは自分が親となった今も変わらない。」
引用終わり。
この分析については色々と異論もあるだろうと思う。
日本ではどうだろうか?
ジャズは高尚になっているのだろうか?
この辺は、僕にはよくわからない。
ただ、ジャズという音楽の社会の中におけるポジショニングはずいぶんと変わったと思う。
少なくとも、今のジャズは広く若者の間でポピュラリティをもつような音楽ではないような気もする。
それは、今のジャズが悪いわけではなく、そういう時代になったということではないだろうか。
だからといって、時代に合わせてジャズも変わってほしいとは思わないが・・・
それにしても、もっと若者にジャズを聴いて欲しいし、ライヴを聴きに来てほしいと思う。
自分の好きな音楽を好きになってくれる若者も、きっと大勢いると思うから。