死刑制度廃止論

闇サイト殺人遺族の磯谷富美子さん基調講演詳報 「被害者が1人でも、私にとってはかけがえのない大切な娘」 残忍な殺害状況も子細に…

シンポジウムでは死刑制度をめぐり、犯罪被害者遺族の磯谷富美子さん(中央)らが意見を交わした =17日、東京都千代田区(滝口亜希撮影)
シンポジウムでは死刑制度をめぐり、犯罪被害者遺族の磯谷富美子さん(中央)らが意見を交わした =17日、東京都千代田区(滝口亜希撮影)

 犯罪被害者支援弁護士フォーラムが17日に開いたシンポジウムで、平成19年の「闇サイト殺人事件」で娘を奪われた磯谷富美子さん(65)は「加害者の更生という未来の不確定なことを前提にして裁くのではなく、まじめに生きている人を守ることを優先して裁く司法であってほしい」などと話した。磯谷さんの基調講演の内容は次の通り。(呼称などは発言のまま)

闇サイトで集った男たちの凶行

 私の娘は、今から9年ほど前の平成19年8月24日から25日にかけて起きた強盗殺人事件の被害者となり、見知らぬ3人の男たちの手によって、31歳という若さで人生を終えました。

 彼らは「闇の職業安定所」というサイトを通じ知り合い、初めて顔を合わせてからわずか3日後の犯行でした。楽してお金を得ようと、まじめな若いOLを拉致し、(口座の)暗証番号を聞き出し、預金を引き出し、最後は殺すと決めて女性を物色。その彼らの目にとまった娘は自宅からわずか100メートルほどのところで拉致され、その2時間後には惨殺。遺体は山の中に捨てられていました。その数時間後に、(サイトで)人を集めた張本人である川岸(健治受刑者=無期懲役確定)の自首によって事件が発覚し、その日のうちに全員が逮捕されました。

 1審(名古屋地裁)の判決は被告3人の死刑求刑に対し、堀(慶末被告=闇サイト殺人事件で無期懲役確定、別の強盗殺人事件で1、2審死刑となり上告中)、神田(司元死刑囚=27年6月に執行)に死刑。川岸は自首減刑で無期懲役でした。被告3人も検察も控訴しましたが、後に神田が控訴取り下げ、神田の死刑が確定。そして去年の6月25日、娘の月命日に刑が執行されました。

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