一次審査総評 | JAMスタッフのブログ

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日本最大級のアカペラストリートイベント、
Japan A cappella Movement(通称JAM)のスタッフによるブログです。
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 JAM2015一次審査終了いたしました!
たくさんのご応募ありがとうございました!

通過バンドは今夜22時発表させていただきます!!
今後ともJapan A cappella Movementをよろしくお願いします🙇🏻

一次特別審査員としてご協力いただいたPiece of CakeのMaL様から総評を以下に記載しますのでぜひご覧ください!!
【ゲスト審査員のご紹介記事はコチラ!http://s.ameblo.jp/jam-acappella/entry-12065000964.html


【一次審査総評】
この度1次審査員をさせていただきました。MaLと申します。 159組、318曲の音源を聴かせていただいたわけですが、まずアカペラというスタイルの選択肢の広がりに驚かされました。 応募曲の中で同じ曲を演奏している、つまり「曲かぶり」は数曲しかありませんでした。300曲近くのレパートリーがあったということです。もちろん各グループに他にも歌える曲があるでしょうからそれこそものすごい数の選択肢があるわけです。 POPS、Rock、Jazz、Dance music等挙げたらきりがないくらいの多様性。中には民族音楽を基調にしたものもありました。 とても喜ばしいことだと思います。それだけ皆さんが様々なジャンルを楽しめるチャンスが増えたということです。

  そこで全体を聴いていての感想としては、全員がアカペラを歌ってはいるけれど、それぞれのジャンルの音楽的特徴や世界観を歌えているグループばかりではないというのが気になりました。 例えばRockです。Rockは皆さんもご存知の通り魂の音楽です。反体制とか反権力とか言われることも多いですが、強烈なところはいったん置いておいて、いわゆるRockスターと呼ばれる人たちは演奏や声に魂を乗せて叫ぶようにRockし続けてきました。それこそ生き様であり、積み上げた歴史でもあります。今回の応募でもRockの曲は非常に多かったです。その中で「俺は今Rockを歌っているんだぜ!うおー!」ってグループはあまり多くありませんでした。かっこいい曲だからアカペラでやってみた!そんな印象を持つことも多かったです。 RockをやるならRockイベントに楽器を持たずに乗り込んでメッセージを伝えるくらいの、Jazzを歌うなら品の良いJazzバーでお客さんに上質な時間を届けられるくらいの、Dance musicをやるならダンサーがじっとしていられないくらいの、そんな意識でそれぞれの音楽に向かって欲しいなと思いました。そうするとその曲を歌う意味が一気に出てきます。意味が出ると音の狙いが定まってきます。そして聴く人の評価もどんどん変わってきます。するともっともっとその音楽を歌いたくなりますよね。

 今回のJAMのテーマが”想(そう)”だということです。 クオリティだけでなく、歌っている人たちの想いがどれだけ乗っているか。それも審査の対象だということです。 なので、僕は審査ではクオリティやアンサンブルの他にそういうところに重点を置きました。 RockならRockしているかどうか、PopsならPOPかどうか、Jazzならスウィングしているかどうか、各音楽をその音楽として楽しませることができる演奏であるかどうか。思わず足を止めるかどうか。応援したくなるか。そういうことに重点をおいて皆さんの音楽を聴かせていただきました。 そうやって聴いていくと、クオリティだけではない素晴らしいグループがいくつもありました。そういうところを審査では推させていただきました。
はっきり言って、皆さんはかなり上手いです。全体的なクオリティも近年どんどん上がってきていると思います。 その上で僕の個人的な意見を書くと、JAMという場が「この中で一番ピッチやリズムのクオリティが高いグループの展示会」になって欲しくはないと思っています。もちろんクオリティを上げるというのは並大抵の努力じゃないと思うので、そこに敬意は表します。 ただやはり、僕はコンテンポラリーアカペラはエンターテインメントであって欲しいと思うのです。 その磨いたクオリティで、その歌唱力で、そのパフォーマンスで、キャラクターで、いかに観客を引き付けられるか。楽しませられるか。 それを競って、認め合って、感動を共有していって欲しいなと思っています。 そこに出場している自分も楽しんで、それ以上にイベントが終わった後のお客さんの表情を見て「すばらしいイベントに参加できた!」と思えるようなイベントを作っていて欲しいなと思います。 そういう想いで審査させていただきました。
例えるならアカペライベントは今や僕は異種格闘技戦だと思っています。 ルールは「武器(楽器)を使わないということ」。それ以外はなんでもありルール。 ボクシングの人もいれば柔道の人もいて、空手、拳法、ムエタイとかそれぞれの流儀を極めてぶつけ合う。 観客は「人間の身体の鍛錬の可能性」に熱狂するわけです。「やっぱり立ち技最強はムエタイなんだ!」「ボクシングのパンチは普通じゃない!」「空手が強い!日本の武道かっこいい!」「中国拳法が強いなんて子供の頃に見たカンフー映画みたい!」…すみません、格闘技好きなもので暴走しました。 しかしたどり着いて欲しいスタイルとしてはそれに近いと思っています。 皆さんも「楽器を使わない」ってことはすでに大前提なのですからそこで止まらず、それぞれの流儀を、世界観を、個性的な表現力を磨いて、是非それを武器にして会場を楽しませてください。
応募された皆さん、素敵な歌をたくさん聴かせてもらいました。 本当にありがとうございました。 当日の大成功を祈っています。                                
  MaL

MaL
Twitter (@malbeat)