「今夜一杯どう?」。「明日健診だから今日は飲めないんだ…」。よく聞く会話だが、本当に健診前夜は禁酒しなければならないのか。医師が、医学的な視点から、「自分の家族にだけ教えたいこと」を一般読者に向けて書いた本が出版された。
今回紹介する『医者が自分の家族だけにすすめること』(祥伝社新書)。著者は形成外科医で医学博士の北條元治氏。
多くの人が「当たり前」と思って受けている医療や、実践している健康法を、医師の視点で見つめ、「自分の家族ならこうする」という、患者にとって一番知りたい情報をまとめた1冊だ。
家族が花粉症になったら、不眠症だったら、アレルギー体質だったら、不整脈になったら、子宮筋腫になったら、がんになったら…。健康なときには考えようとしない病気や健康に関する問題を50問ピックアップ。医学常識をわかりやすく解説した上で、医師だから言えるホンネでズバッと一刀両断する。
間違えてはいけないのは、医療は必ず患者を救えるわけではない、ということ。もちろん医師ならではの医療知識に基づくアドバイスもあるが、一方では「医師だからこそ知っている医療の限界」も現実にはあり、本書で学ぶべきは、まさにそちらのほうなのだ。
自分の家族が病気になったとき、医療への期待はどうしても大きくなりがち。必要以上の期待を持ち、それが叶わぬと知ったときの落胆も大きい。その落差が、ときにモンスターペイシェントを生み、医療訴訟の温床となることも…。