世界82カ国のべ250カ国でカジノをわたり歩き、ポーカーをはじめとする"ギャンブル"で17年間、安定的に生計を立ててきたプロギャンブラーののぶきさん。

その特異な経歴から企業の講演や書籍執筆の依頼が殺到しているのぶきさんに、シビアな勝負の世界に生きる彼ならではの仕事術をお聞きするこのシリーズ。第3回は、「すべての持ち物がバックパックひとつに収まってしまう」という究極的に身軽なライフスタイルを実践しているのぶきさんに、"ミニマルな生き方"のメリットをお聞きします。

プロギャンブラーのぶき|blogFacebook

1971年東京生まれ。バックパックひとつで世界のカジノを渡り歩き、"神の領域"といわれる「年間勝率9割」を達成したギャンブラー。2014年8月、初の著書となる『勝率9割の選択』(総合法令出版)を上梓。本書の中では、プロギャンブラーという特異な生き方、そして世界82カ国を旅した経験を活かして「勝ち続けるための選択術」「運をマネジメントする方法」「メンタルを強くする手段」などについて指南している。

僕は現在、家具家電が備えつけのシェアハウスに住んでいますが、すべての荷物はバックパックひとつに収まります。もちろん、以前はウォーターベッドやガス乾燥機などまで、ひと通り家財道具があって、Tシャツも100枚、靴も十数足あったのですが、1年間、海外へギャンブルの旅に出て、帰国して部屋に戻ったときに、「ここにある荷物は本当に必要なのかな」とふと考えました。結局、1年間のくりかえしが人生なのだから、丸1年間もタッチしていない荷物は必要ないんじゃないかと思えたことがきっかけでしたね。

この不必要かも知れない荷物をエゴで持ち続ける分、スペースも必要となり、お金がかかる。モノを所持することは、見えにくい部分でランニングコストがかかっていることに気付けたのです。ならば僕の格言「敗因を消すのが勝因」。勝負師としての判断力で解決できないのか。

断捨離して、生活スタイルそのものもミニマルに

まずは数年間さわっていないものから整理しました。すべて捨てようと決めて帰国しても、荷物を半減させるのが精一杯。毎回の帰国時に、そんな荷物とのせめぎあいをしてました。5年かけて、ようやくバックパックひとつ分になりました。

同時に生活レベルもミニマルにしていきました。モノがなくなると、当然、広い部屋もいらなくなります。家賃もたとえば今より2万円安いところに住める。すると、前よりも年間で24万円浮かすことができます。ギャンブル格言「ロスを防いだのは稼いだことと同意義だ」。つまり、24万円のお金をセーブしたことは、年収24万円を稼ぐことと同じなんです。

これに税金・敷金・礼金なども加味したり、年収ではなく実際の使用可能なお金が24万円増えたことを加味してみると、実際は年収40万円以上の価値になっているかも知れません。その分を稼がなくて済むし、貯蓄にも、夢へも回せる。

さらなる効果としては、狭い部屋に引っ越すと、モノを置ける容量が限られてくるので、自然と衝動買いもなくなるし、買う物は厳選されるので、身の回りのモノすべてに愛情がわいてくるんです。たとえば、1000頭の犬を飼っているのと、3頭の犬を飼っているのとでは、愛情のかけ方が違ってくるでしょう?

140909_gambler_backpack.JPG

▲のぶきさんが所有しているすべてのもの。

モノへの所有欲から卒業して、見えてきたもの

僕はモノを買うとき、失ってもショックがないコストのモノを買うのがモットーです。これは数学者が勝負の賭け金を算出するために編み出した「ケリー基準」にも基づいています。

プロギャンブラーは、大勝負であっても全軍資金の4%しか賭けません。小さい勝負を積み重ねて、運という波に左右させず、運のファクターをこちらがコントロールしていくんです。そんな、数学上で出せるキッチリした正論を日常生活にも応用してみました。大きな買い物でも、自分が使っていい貯蓄の4%以下の金額へコントロールしていくんです。

自分にとって高価すぎるモノを買うと、失ったときショックを受けます。高級ブランドの50万円の時計が見つからないと、やっきになって探してしまいます。でも、100円ショップの時計なら、また買えばいいやと思える。

モノはあくまで所有するものであって、これがなくなったらどうしようと不安にかられる時点で、立場が逆転し、モノに所有されているわけです。「あれ高かったのに...」という嘆きは、モノではなく金額を愛してたのかも知れません。モノはモノなんです。

モノを最小限にすることで、何がいいかといえば、何も足枷がなく、身軽に引っ越しができること。僕の場合、引っ越しに要する時間はいつも12分です。そしてモノを探すムダな時間がなくなります。たとえば何か探し物をして、バックパックの中を1分間探して見つからなければ、それは僕の場合、本当にないということなんですね。以前、ヨーロッパを旅していて、黒いYシャツがないことに気付きましたが、バックの中を見てもなかったので、「なくなったんだな」と瞬時に納得して、それで終了しました(笑)。

そして、頭を次の動きへシフトできます。もし大豪邸に住んでいると、どこかにあるのかも知れないと、常に頭へこびりつきますよね。

さらに、所持欲から卒業できると、本当に大事なのはモノに囲まれて暮らすことではなく、自分の生き様や、健康、人との愛情や友情だということが見えてくるんですよ。

モノを整理できると脳内ファイルも整理できる

「減らすこと」のメリットはモノに限らず、すべてに通じる深い話でもあります。たとえば100個やらなければならないことがあると、今一番やるべきことが見えなくなります。でも、5~6個の中からであれば、今やるべきベストな項目は明確です。そうやって自分をミニマルにしていくと、いいことばかりなんですよ。

"脳内ファイル"についても同様の考え方をしています。たとえば、僕の場合、メールの返信は瞬殺で処理します。後で返そうと思うと、忘れないようにいつも頭の片隅の脳内ファイルに残しておかなければならないからです。原則10分以内でこなせることは即座にクリアにします。

脳内には常にアイディアが湧き出る容量を空けておく

僕はこの"脳内ファイル"を5~6個のみにするようにしています。そしてメインで開いている脳内ファイルは、脳の容量の70%くらいを使用してると考えてます。残りの空き容量を他のことでわけているという感じです。

ですから、やるべきことを先延ばしにしてしまうと、現時点やこれからやりたいことへの素敵なひらめきを考えるための、大切な脳内の容量を使ってしまうことになります。新しいアイディアを考えるためには、常に脳内ファイルの容量は余裕をもたせておくのがベストなんです。

脳内整理にはメモを有効活用

僕の場合、脳内ファイルへ常に余裕をもたせるために、ビジネス上の細々したことについては、メモを有効活用します。メモは人生・月・週・日と4つのスパンに分けています。まずは「人生の夢リスト」と、それをもとにした今月のスケジュール、そして今週したいことリスト、今日すべきことリストの4つ。

「人生の夢リスト」は、生涯をかけて絶対にやること、これをしなければ死んでも死にきれないということが記されていて、それではそのために今週は何をしたら夢へ近づけるのか? 今日は何をすべきか?とやるべきことを具体的にリスト化しているんです。人生や夢と今がつながっいてるという実感が生じることから、迷いや考えのブレが消せます。そのためにも、まずは目標やゴールを設定することが重要だと考えています。

次回の第4回では、プロギャンブラーのぶきさんの「ゴールの設定とその実現法」について詳しく解説していきます。

(庄司真美)