世代で大きく異なるソーシャルメディアでの情報拡散の基準(2015年)

2015/08/28 11:30

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気軽に不特定多数に向けて情報の発信ができるのがインターネットの長所の一つだが、その長所のハードルをさらに低くする役割を果たしているのがソーシャルメディア。利用者の増加とと共に情報のやり取り、コミュニケーションの形や概念は従来の手段と大きく様式を変えていき、これまでに無い、既存の発想では想いもよらない現象が生じることも少なくない。今回は総務省が2015年7月28日に発表した最新版の【情報通信白書】(【発表リリース:平成27年「情報通信に関する現状報告」(平成27年版情報通信白書)の公表】)を元に、ソーシャルメディア上で不特定多数に向けた情報発信(拡散)に関して、その認識の実態を確認していくことにする。


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今件部分の直接の調査は「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」となる。これは主に今白書のために行われたもので、調査要項の詳細は先行記事の【ウェアラブルデバイスによる健康管理サービスの需要】を参照のこと。

今調査対象母集団のうちソーシャルメディア(LINE含む)の利用者58.9%に対し、どのような基準で情報を拡散する(自創作した情報の投稿・発信では無く、他人の投稿・情報を知人と共有すること。Facebookの「いいね!」やツイッターのリツイート機能の実行などを意味する)かを複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。

↑ ソーシャルメディア上での情報拡散の基準(ソーシャルメディア利用者限定、複数回答、2015年)
↑ ソーシャルメディア上での情報拡散の基準(ソーシャルメディア利用者限定、複数回答、2015年)

もっとも高い値を示したのは「共感」で46.2%。賛意ととらえることもできる。要は「これ、あなたもそう思うよね」「これは素晴らしい」との内容に同意し、それを第三者にも知ってほしい、さらに共感してほしい(あるいは自分の共感が間違っていないか、不特定多数の同意意見であるかを確認したい)とするもの。ことわざ的な内容や感動する話、驚いた話、納得のいく話が容易に拡散されるのも、これを起因とする。第3位の「生活に役立つ」、第4位の「社会的に重要」もこれに近しいものがある。重要、役立つ内容でも共感が無ければ、情報共有・拡散の動機にはつながりにくく、「あっ、そうなの」で終わってしまいかねない。

次いで多いのは「面白さ」で40.4%。特にツイッターのようなソーシャルメディアでは一度に送れる情報量には制限があるため、一発芸的な面白さが受ける傾向が強い。短時間の動画を対象にしたサービスvineが流行るのも納得がいく。

問題視すべき点としては「情報の信憑性が高いか否か」の観点で同意を示した人が1/4も居ないことが挙げられる。見方を変えれば3/4は内容の信憑性に関しては気に留めていないことになる。少なくとも内容への共感や面白さなどと比べて優先順位が低い人は多い。これがソーシャルメディアでガセネタやニセ情報が広まりやすい一因とも考えられる。「面白ければ、共感できそうな話なら、それがウソだっていいじゃない」とするものだ。

これを世代別に見ると、情報拡散に関する視点、とらえ方が年齢階層で少なからず違いを見せていることが分かる。

↑ ソーシャルメディア上での情報拡散の基準(ソーシャルメディア利用者限定、複数回答、2015年)(年齢階層別)
↑ ソーシャルメディア上での情報拡散の基準(ソーシャルメディア利用者限定、複数回答、2015年)(年齢階層別)

内容への共感や役立つか否かは世代差が無いものの(一部イレギュラーがあるが)、面白さでは若年層ほど高い拡散率を示し、信ぴょう性では高齢層ほど高い値を示している。発信者が知人や友人か、本人確認を行っているか否かも、情報の信憑性の上での判断材料と考えれば、

・全般…共感

・若年層…面白さ

・高齢層…信憑性

と、世代による情報拡散対象の基準が存在することになる。心当たりがある人も多いのではないだろうか。


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