Crew blog : 今、あなたの周りには注意力を無くす原因はいくつありますか? 電話、Email、 Twitter、それとも、どんどん長くなる一方のToDoリストが頭を離れないことでしょうか?

現代のテクノロジーは私たちの生活に便利なものをたくさんもたらしましたが、難点もあります。例えば、着信通知がひっきりなしに鳴ると、気になって落ち着いて重要な仕事をすることができなくなり、ついバタバタ忙しい仕事ばかりしてしまいます。

平均的な会社員は3分ごとに気が散っているということをご存知でしょうか? 

さらに、カーネギーメロン大学ヒューマンコンピュータインタラクション研究所の調査によれば、いったん気が散ると元の集中力を取り戻すのに25分もかかると言われています。

集中力は簡単に失われるのに、取り戻すのはこれほど大変なのです。

注意力が散漫になると良くないことがいろいろあるとわかってはいても、それに対する対処はほとんどされていません。ですが、この現状を改善していきましょう。

脳は意識を集中する対象をどのように選択しているか?

脳は常に稼働していて情報を取り込んでいます。ということは、常に何に注意を払うか、何をスルーするか選択していることになります。これは神経科学の専門用語で「選択的注意」と呼ばれ2つの形があります。

1. トップダウン(随意的集中)

これは集中力の使い方としては究極の理想です。トップダウンで集中するときは目的がはっきりしていて、過去の経験を活かして物事を解決します。

どのような場合に発揮されるか:試験勉強中や難題を解決しようとしているとき

2.ボトムアップ(刺激駆動型集中)

アイデアが浮かんだり、何かに気を取られたりすると(例えばピンポーンと呼び鈴や着信通知が鳴ったりするとき)ボトムアップの集中力が発揮されます。目の前で起こっていることにどうしても注意を払わざるを得ない状態です。

どのような場合に発揮されるか:大きな音が聞こえるとき、誰かがいきなり飛び出してきたとき、電話のベルが鳴るとき

では何が問題なのか?

私たちは脳が使う集中力のタイプを自分で選ぶことができません。自分ではトップダウンモードでいたくてもボトムアップの集中力が雑音に反応する脳のフィルターを優先してしまいます。

これは「ファイト・オア・フライト反応」のせいです。人間の原始的本能は、大きな音や急な動きは危険が迫っている証拠としてとらえるので、読書中の本や書きかけの重要なメールより危険を回避する方を優先します。

さらに、意志の力と集中力には限りがあることが研究により実証されています。要するに気が散れば散るほど、元の軌道に戻るのは大変になるということです。

しかし、集中力をできるだけ速く効率的に取り戻す方法が存在することも科学が実証しています。

いくつか具体的な方法を見ていきましょう。

集中力を取り戻す7つの方法

集中力が一切発揮できない無限の悪循環に陥ったことがあるなら、そこから脱することの大変さもわかるはずです。気が散って困るときに覚えておくべきコツは次の通りです。

1.脳内時計に従って仕事をする

1日のうちで集中力が高まる時間帯があることをご存知でしょうか。

ほとんどの人の場合、1番気が散りやすい時間帯はお昼の12時から4時です。私の場合は特に午後2時ごろに強烈な眠気を感じます。

脳が難しい問題を1番うまく扱えるのは午前10時から正午までの時間帯です。この時間帯には脳は完全に目覚めており、朝食後なので栄養も行き届いているため、快調に働けるのです。

中身の濃い作業に集中するのは午前中、朝食後から正午までの数時間がお勧めです。午後は休憩を取り散歩に出かけてください。

2.集中力が続いたら脳にご褒美をあげる

脳は実践により学習します。ということは、メールのチェックやTwitterを見るなどの気が散る作業をすればするほど、脳はますますそうした作業を熱心に続けるようになります。

その代わりに、悪習慣がつく前に踏みとどまって脳が集中力を維持できるように訓練してください。「今自分は気が散っている」と感じたらすぐにストップしましょう。

気が散ることをすればするほど、脳はそれに集中してしまいます。

3.本物の休憩を取る

私たちの生活のほとんどは、なるべく多くの情報を受け取ることで回っています。一度にブラウザのタブをたくさん開けっ放しにしていたり、同僚から絶え間なくメールや電話やメッセージが来たりします。できる限り仕事の速度を速くしても仕事の成果が出るわけではありません。

集中力を高めるには、気が散らない場所を見つけることです。家の中のどこか別の場所でもWiFiの無いカフェでもいいので、この場合肝心なのは集中力を充電する機会を持つことです。

4.マルチタスキングとサヨナラする

マルチタスキングの実態はその名に反するものです。

人間の頭は一度に複数のことに集中できないので、「マルチタスキング」とは実は1つことから別のことへと素早く切り替えているだけです。そして、切り替えが多くなるほど消費するエネルギーも増えますし、エネルギーを使えば使うほど、大事なことに集中できなくなります。

重要度順に作業を並べたToDoリストを作り、できるだけそのリストの順番で仕事をしましょう。一度にやることの数が少ないほど、総合的には良い仕事ができます。

5.熱中できる仕事を見つける

次の作業を始めようとしていたら10分後には居眠りをしていたという経験はありませんか?

目の前の作業が「どうしても集中しなくちゃ」と必死になれるぐらい重要に思えないと、脳は別の刺激を生成します。「脳の既定ネットワーク」が稼働して、集中していない状態になります。

集中力が無くなったら、自分に原因があるのか、それとも目の前の作業に原因があるのか考えてみましょう。あまり本気で取り組む気になれない作業なら、もっと自然にエネルギー量が多い時間帯にした方がうまく行きます。午前中の遅い時間帯がお勧めかもしれません。

6.マインドフルネスを実践する

ストレスほど集中力の妨げになるものはありません。1番集中しなければならないときに限って1番ストレスを感じがちなのは本当に嫌になります。

しかし、瞑想のようなマインドフルネスのトレーニングは、自分がしていることや考えていることをもっとしっかり認識することで、ストレスや激しい感情に流されることがないように導いてくれます。

五感の1つを選びその感覚にのみ5分間意識を集中させましょう。体と心が感じていることに気づいてください。自分の触覚、嗅覚、視覚、聴覚、味覚を意識しましょう。

7.ガムを噛む

え、ほんと?と思うかもしれませんが、ガムを噛むと注意力を司る脳の領域の酸素の流れが良くなるという研究結果があります。長期記憶も向上しますし、血液に少しインシュリンを投入することになるので、脳のエネルギーも高くなります。

ガムを噛みたくないという人には、スナックを食べて脳にエネルギーを取り込むことをお勧めします。脳の通常機能を維持するためには420kcal必要で、これはピスタチオ100粒分、バナナなら4本分です。

集中力が弱まってきたと感じたら、スナックを食べて脳に燃料を与えましょう。

この記事を読み終わる頃には、少なくとも12分間仕事から気が散ったことになります。

集中力を取り戻すと脳を使う作業は少し楽にできるようになります。脳に余計な刺激を与えるものを減らし、脳内時計に従って働き、マインドフルになりましょう。

The science of how to stay focused: Psychology, habits, and chewing gum | Crew blog

Jory MacKay(訳:春野ユリ)

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