司法試験の合格率、7割超に 政府が改革案
政府は30日、法曹人口や法科大学院のあり方を検討する法曹養成制度改革推進会議(議長・菅義偉官房長官)を開き、司法試験の目標合格率を7割以上とした改革案を取りまとめた。年間合格者は1500人以上とし、司法制度改革で3千人程度とした目標を半減することになった。
菅官房長官は「法曹を目指す有為な若者のために国民の理解を得ながら取り組みを進める」と話した。
文部科学省によると、全法科大学院の修了者の2014年度までの累積合格率は49.2%にとどまっており、改革案は「おおむね7割以上」を目指すとした。現在、7割を超えるのは東京大と京都大、慶応大、一橋大のみで、合格率の底上げが課題となっている。
文科省は司法試験の合格率や定員充足率などの数値を基に法科大学院を評価。合格率などが著しく低く、改善が見られない場合は学校教育法に基づき、改善勧告や組織閉鎖(閉校)命令などの措置を段階的にとることも改革案に盛り込まれた。
一方、改革案は司法試験合格者数について「1500人程度は輩出されるよう必要な取り組みを進める」とした。政府はすでに02年に閣議決定された年間3千人の目標を13年に撤回。司法制度改革により弁護士数は倍増したものの、社会的ニーズは想定よりも増えず、「弁護士余り」も指摘されていた。
推進会議は13年9月に設置。文科省や法務省、最高裁、日本弁護士連合会でつくる法曹養成制度改革推進室が事務局となり、有識者で構成する顧問会議の助言を受け、議論を進めてきた。