【JB特集1】イスカンダル計画とは? ジョホールバルで日中投資合戦勃発!?

2016.03.18

今ASEANの中で一番の激アツスポットといえば、あのジョホールバル。1997年にサッカー日本代表が初めてワールドカップ本戦出場決定を決めた「ジョホールバルの歓喜」で知っている人も多いのではないでしょうか。2006年からジョホールバルでは、イスカンダル計画という巨大プロジェクトが進行中です。

世界中の投資マネーがうごめくジョホールバルに、あなたは投資したいですか?

日本のバブル崩壊、アメリカのサブプライムローン問題、中国の不動産バブル崩壊...。

人類は同じ過ちを犯し続けてもなお、その過ちを忘れて投資に夢中になる。

その矛先は今、ジョホールバルへ向かっている...。

イスカンダル計画の概要

2006年にスタートした、マレーシア南端部のジョホール州を大開発する巨大プロジェクトです。

2025年までに2217平方キロメートル (東京都とほぼ同じ面積、シンガポールの約3倍) のジョホール州を約10兆円かけて開発し、2005年時点で130万人だった人口を2025年には300万人にまで増やそうとする壮大な計画です。

超ざっくり言うと、シンガポールをもう3個つくってしまおう!という計画です。

イスカンダル地区は5つの地区に区分され、それぞれの特色を出しながら開発が進められています。

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Photo from Iskandar Malaysia HP

A地区:ジョホールバル都心部(行政や金融といった中枢部)
B地区:ヌサジャヤ地区 (外国人移住者を誘致するために住居、商業、教育、医療に力を入れる地域)
C地区:タンジュンプルパス港エリア (物流拠点)
D地区:タンジュンランサット工業団地やパシルグダン工業団地 (化学や電気電子といった製造業に注力する地域)
E地区:スナイ空港周辺 (ハイテク分野を誘致)

 

(1)イスカンダル計画で指定された9つの促進産業

イスカンダル計画世界中からの投資を呼び込み、自世界最高のビジネス環境を整えることに注力しています。そのために以下9つの促進産業を指定しています。

5つのコア産業には電気電子、石油化学、食料加工、物流、観光が指定され、今までジョホールバル経済を牽引してきた産業をより強めていくことが期待されています。

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Photo from Iskandar Malaysia HP

4つの新興産業には金融・保険・不動産、クリエイティブ、医療、教育が指定されました。どれもジョホールバルにはなかった産業であるがゆえに、これらの産業にはビジネスチャンスが多いでしょう。

とりわけ注目したいのは教育です。

最近はキャサリン妃の母校として有名なイギリスの名門校マルボロカレッジが開校されたことを皮切りに、イギリスのニューキャッスル医療大学、レディング大学、アメリカのマルチメディア大学、オランダの海運技術大学といった、専門性の高い教育機関がEdu Cityという町に集積しているのです。

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(2)投資優遇措置

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2,230エーカーもの森林を開発するために、2007年10月に施行された優遇措置です。

 

②15% TAX RATE SCHEME
2010年以降、上記9つの促進産業に従事する知的労働者で、イスカンダル地区に住む人は雇用主経由で所得税を一律15%にできるという優遇措置で、これに認定された人は自家用車を税金なしで購入できる権利も得ることがでます。

マレーシアの個人所得税は日本と同じく累進課税制度なので、給料が多い人はこの優遇措置を利用した方がお得ですね。

参考|マレーシアの個人所得税税率(2015 賦課年度) (JETRO)

どちらの優遇措置も詳しい条件等はまだ更新中なので、まずは下記のアドレスまで問い合わせてほしいそうです。
email: enquiries@irda.com

 

イスカンダル計画に投資する魅力

(1)ジョホールバルの地政学的魅力

ジョホールバル地政学的魅力としては、ASEAN各国の中心に位置している点とインド、中国という巨大マーケットに隣接していること。

英語もかなり通じるので、シンガポールと並ぶASEANビジネスのハブとして飛躍することが期待されます。

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Photo from Iskandar Malaysia HP

(2)自然と調和しながら発展を目指すイスカンダル計画

次にイスカンダル計画の特徴は、二酸化炭素排出を抑え、自然と共生する持続的な発展を目指しているという点です。

京都大学、岡山大学、国立環境研究所も協力しています。

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Photo from Iskandar Malaysia HP

(3)交通手段の利便性向上

現在、ジョホールバルとシンガポールはCausewayとSecond Linkという2本の橋でしか結ばれていません。しかし、これからは交通も便利になっていきます!

イスカンダル地区―シンガポールを繋ぐ地下鉄 (Rapid Transit System :RTS) や、2020年までにクアラルンプール-ヌサジャヤーシンガポールを繋ぐ高速鉄道 (High Speed Rail :HSR) という鉄道計画も進行中。

これらが完成すればヒト・モノの移動がより活性化され、シンガポールとジョホールバルの経済圏がより強くなっていくでしょう。

そんなのが実現してしまっては、沢木耕太郎の『深夜特急2マレー半島・シンガポール』に出てきたマレー鉄道はどうなってしまうのでしょうか・

この本に憧れてマレー半島を旅した日本人が何人いるか、両政府は知らないのでしょう...。(;_:)

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Photo from Iskandar Malaysia HP

参照|旅は人生の教科書!?バックパッカーのバイブル『深夜特急』に学ぶ旅人的世界の感じ方!

 

数値目標

数値目標としては、2013年から2025年までにイスカンダル地区におけるGDPを2.3倍に増加させることと、7.3%の経済成長率を掲げています。

人口は180万人から300万人まで増加させ、それに付随させて雇用も創出することで経済を活性化させようとしています。

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Photo from Iskandar Malaysia HP

 

シンガポール、インドネシアと連携した石油産業の振興

シンガポール企業がインドネシアのバタム島、ビンタン島、カリムン島との経済連携を活かして石油化学を中心とした湾口産業を強化させ、ヨーロッパのアントワープ、ロッテルダム、アムステルダムに対抗するのです。

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Photo from Iskandar Malaysia HP

日本と中国の投資合戦勃発!?

イスカンダル計画がどれほど壮大なものなのか、ビジネスチャンスが溢れていることはご理解いただけたとは思いますが、そのチャンスを狙いに来るのは日本だけではありません。

お隣のシンガポールはもちろんですが、中国、アメリカ、スペインもぞくぞくとやってきています。

その中でもやっぱり目立つのは中国マネーです。

そこら中に中国語表記の建設現場が乱立しています。


DSC06389DSC06448(中国マネーがうごめいています・・・)

しかし!日本も負けてはいません。

イスカンダル計画のなかでも特に注目されるB地区:ヌサジャヤ地区、メディニエリアのマスターデベロッパーは三井物産が担っているのです。

メディニエリアはヌサジャヤ地区の中心市街で、オフィス、商業施設、ホテル、マンションが集積される予定で、ジョホールバルの新しいシンボルである レゴランドもあります。

DSC06264(レゴランド)

DSC06275(中央の赤い看板にMEDINIと書かれています。)

参考|三井物産 「何をやってるの?「総合商社」未来編~三井物産の挑戦と想像~」

参考|日本経済新聞 「ジョホールバル 空白の大地はフロンティアの匂い」 2015/7/26

ジョホールバルで挑戦者となれ

以上がイスカンダル計画の概要です。2006年に始まったものの、まだまだ完成へは道半ばです。ビジネスチャンスを掴みにに世界中から挑戦者が集まってきているジョホールバルで、働いてみるのはかなりおもしろいでしょう。

次回の【JB特集2】はイスカンダル計画の中でもあまり知られていない謎のプロジェクト、Forest Cityに潜入調査を敢行します。GPSにもまだ表示されない、人口埋立スマートシティです。

その他参考|国際協力銀行 (2014) 『マレーシアの投資環境』

その他参考|日本貿易振興機構(ジェトロ)シンガポール事務所海外調査部アジア大洋州課(2015) 『シンガポール、ジョホール州、バタム島 「成長の三角地帯」の今』

その他参考|Iskandar Malaysia HP 

関連記事|【JB特集0】ジョホールバル特集、はじめます。マレーシアは先進国になれるのか!?

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