Inc. : テクノロジーの発達と経済的プレッシャーのおかげで、どこの先進国の人々も仕事とプライベートのバランスに、ますます苦労するようになっています。時間がないと感じているのは皆一緒ですが、国によって反応の仕方が違うようです。ヨーロッパではここ最近、仕事と生活を区別することを前提とし、雇用者が家庭の用事をこなせるようにするための法案が可決される動きが活発です。

ところがアメリカでは、メディアの評論家たちが、極端に異なるアドバイスをしています。

1つは、生活の各側面を区別しようとする果てしない(そして勝ち目のない)闘いはあきらめ、すべてをミックスしようという考えです。「ワークライフバランス」という古臭い考えは捨て、「ワークライフブレンド」という、光り輝く新しい理想を取り入れましょうというわけです。

いったいどちらが正しいのでしょうか?

あなたは、正しい答えなどないと思うかもしれません。なんであれ個々が好むやり方こそがその人の正しい解決法なのであって、バランスでもブレンドでも好きなようにするのが幸せなのではないか、と。

しかし、Google社が行った新しい調査によると、好きなようにすべきというのは不完全な答えであって、バランス対ブレンド論争にははっきりした正解があるというのです。

ブレンド派には残念なニュース

個々の好きな時間管理法で生活を運営することのほうが重要なのか、バランスかブレンドどちらか一方の考えがすべての人にとって明確に正しい方法なのか...

それを突き止めるべく、超大手検索エンジン企業Google社は、Google社員の意見を調査したのです。

質問内容は、〈1〉回答者がブレンド派かバランス派か(原典の科学文献では、仕事と生活を区別している人は「セグメンター(区分する人)」、すべてをミックスしている人は「インテグレーター(統合する人)」と呼ばれています)、そして〈2〉その好みに沿った実生活ができているか、でした。

集計結果からわかったのは、願望と実生活が一致することよりも、バランス派かブレンド派かを選択していることが重要であるということでした。

Googleが得た数字によると、「生活をより充実させたいなら、バランスをあきらめろ」と言う専門家の話など無視し、プライベートと仕事の区別に悩み続けるべきだという答えが出たのです。

しかし、「バランスかブレンドのどちらを好むかに関係なく、セグメンターのほうが、インテグレーターよりも、自分たちの生活状態にはるかに満足していることがわかったのです。また、セグメンターのほうが、仕事から(離れようと思ったら)離れられる確率が、2倍以上高いこともわかりました」と、Google社のブログ「Re:Work」は報告しています。

「セグメンター」のやり方のほうがより効果的であるにもかかわらず、実践している人は少なかったのです。「セグメンターを実践している人はGoogle社員の3分の1以下でした。そして、インテグレーターを実践している人の半分以上がもっと仕事と生活を区別できたらいいと感じていました」と記事は報告しています。

最先端の専門職たちが会社との連絡を絶つ方法

この調査からGoogle社が引き出した要点はかなり明確です。社員が、私生活で実際に仕事を完全に忘れられるよう手助けをすれば、幸せになってもらえる(しいては生産性が上がり、長く働こうと思ってもらえる)のではないか、ということです。

同社は、従来型のワークライフバランスの再構築を手助けするプログラムなども試行しています。

Google社のダブリン・オフィスには、「ダブリン・ゴーズ・ダーク」というプログラムが試験的に導入されました。社員がオフの時間に完全に仕事とのつながりを断てるよう、退社する際に、皆のデバイスを回収するというものです。「多くのGoogle社員が共通して、このオフィス全体の取り組みによってストレスが緩和されたと感じている、と言っています」と「Re:Work」にあります。

また同社は社員に、「週末はメールをチェックしません」といった私生活の目標を立て、マネジャーやチームと共有することを奨励しています。そうして、仕事以外のコミットメントを重視し、ワークライフバランスを選択したことに責任をもつようさりげなく促しているのです。

Googleはハイテク企業かもしれませんが、こうしたアイデアは、ローテクで、もっと小規模な企業でも簡単に真似できるものです。あなたの会社でも1つ試してみてはいかがでしょうか。

あなたが目指すのはブレンド派ですかバランス派ですか? そのアプローチはうまく行っていますか?

Work-Life Balance Beats Work-Life Blend, According to New Google Research|Inc.com

Jessica Stillman(訳:和田美樹)

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