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「怒り」映画/小説 &川田さんトーク

2016-11-06 03:44:12 | twitter
映画「怒り」と原作小説、川田文子さんトーク

もう数日前になりますが、川田文子さんのお話を、大久保に聞きに行きました。

ペポンギさんについて、川田さんが話された言葉の中で
「証言には、語られた話の存在と同時に、語られなかった話というものが存在する」
というような事をおっしゃっていたのが、今回とても印象的でした。
語られなかった事も証言の内だ、というのは、ペポンギさんに関して言えばお母さんについての記憶であったり、その人が語った事と同時に生まれる、語らなかった或いは語れなかった話がある、という事。
更には、名乗り出て被害を語った人の存在の一方で、名乗り出ることができなかった、語ることができなかった人の存在がある、という事。

それで先日観た映画「怒り」を思い出しました。
(※以下、ネタバレの恐れアリ)
監督・脚本李相日と原作吉田修一のコンビの前作「悪人」も良かったので、今作「怒り」も期待して見に行ったら予想外に
沖縄の米軍基地問題を、商業映画にしてはしっかり描こうとしていて、とくに米兵の性暴力のシーンが衝撃でした。
思わず海南島のアポ達の被害証言と重なりました。

このシーンについては賛否両論あるかもしれませんが、こうした残酷な描き方をしなければ被害への想像が及ばない人もいる事は否めないかなと。
(詳しくは三浦ゆえさんの記事ご参照
http://ddnavi.com/news/328944/a/)

この米兵のシーンは原作小説よりも、映像の方が更に生々しく描かれていました。

映画を観てからすぐに読んだ原作小説で印象的だったセリフがあります。被害に遭った少女がこう言うのです。

「私、戦えないよ。……だって、私、そんなに強くないもん。」
「私がどんなに恐かったか、どんなに悲しいか、誰もわかってくれないんだよね?いくら訴えても……、伝わらないんだよね?悔しい思いするだけだよね?」

これを読んだ時、海南島の黄有良アポを思い出しました。
日本の最高裁が海南島の日本軍戦時性暴力被害について、請求棄却決定したことを、日本の弁護団が報告しに行った時の事です。アポは家の居間の椅子に座り、静かに弁護団の報告を聞き終わると、小さな声で
「日本政府が謝罪してくれないなら、せめて元日本兵士が直接謝罪しに来てほしい」
と言ったのです。
日本軍から受けた苦しみを何十年も背負わされ生きてきたアポ達が、勇気を振り絞り、被害を公表し、高齢の身をおしてはるばる日本まで行って訴えた裁判。
その裁判で、訴えが受け入れられなかったことを知らされた時のアポに、私はかける言葉もなく、ただその場に立ち尽くしていました。

沖縄の米兵の性暴力と、日本軍の性暴力は、構造的に同じと言えます。
一般的な性暴力の被害は、加害者が有罪になれば処罰されます。
しかし加害側が軍隊である性暴力は、被害事実が明らかであっても謝罪も賠償も、名誉回復もされず、加害者が処罰される事もない。
軍隊は国家のもの、国家は政府が治める。その政府を「選ぶ」のが私たち市民です。

声をあげることもできない他の被害女性たちを含めた自分たちの
人間としての尊厳を回復するために、裁判を起こした海南島のアポ達。今、毎年のように一人また一人と、ひっそり亡くなっています。
裁判の原告にならなかったアポ達も同様です。

映画を見て、小説を読み、川田さんのお話を聞き、改めてこの事を突きつけられました。

立ち尽くしてる場合じゃない…とにかく、アポ達に会いに行こう。
年末の海南島訪問、そろそろ準備を始めます…。

M

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