Inc.:この世界は二分されているのでしょうか? 意見の違いを認め合い、仲良くやっていくことは難しいのでしょうか? 雇用における多様性が叫ばれていますが、それは肌の色やジェンダーの多様性であって、考え方の多様性ではありません。

私はまったくお酒を飲まないのですが、このイギリス発のハイネケンのコマーシャルは、ぜひ皆さんに見てほしいのです。絶対に、その価値がありますから。



参加者は、実験の目的を伝えられないままペアを組みます。実はこのペア、本人たちは知らされていませんが、政治的な考えが正反対の2人なのです。その2人で協力し、一連のタスクを完了することを命じられます。

2人で人間関係を築いたのち、相手が自分と対立する意見を吐き出している動画を見せられます。それを見終わったうえで、一緒に座ってお酒を飲むか、立ち去るかを選ぶことができるという実験です。

CMでは、どのペアも一緒に座って話すことを選びます。そのプロセスで、意見が異なるからといってひどい人間なわけではないことを学んでいくのです。

もちろん、これはあくまでもCMであり、いい結果の例をピックアップしただけに過ぎません。実際は500組のペアが言い合いになり、立ち去ったと聞いています。ただ、ハイネケンのFacebookページによると、彼らは全員が一般人であり、俳優ではないとのこと。つまり、台本はありません。

最近では、異なる意見を持つ人はひどい人間という考えのもと、ビジネスパーソンが顧客や潜在顧客をこき下ろす事例が増えています。

アメリカ中西部出身者を非難して炎上したMelinda Byerleyさんのツイートも、彼女がもう少し時間をかけていろいろな人に会っていれば、まともな会話が可能になり、共通点を見出すことができていたかもしれません。

SNSの世界は、結論を急ぎがちです。友人がFacebookに何かを投稿し、あなたがそれに答えるとします。そこに知らない人が横から入り、あなたのバックグラウンドも知らないくせに非難をしてきます。そして言い合いがはじまり、けっきょくお互いに相手はバカであると思いながらその場を去るということがあるでしょう。

でも、ちょっと考えてみてください。そんな結論を下す前に、お互いのことをもう少し知ることができたなら、もっといい世界になると思いませんか?

The Beer Commercial Everyone Needs to See | Inc.

Suzanne Lucas(訳:堀込泰三)

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