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不動産は「利回り商品」 群がる運用難民

2016年09月11日 | 金融
不動産は「利回り商品」 群がる運用難民
2016/9/11 3:30 日経朝刊

 「こんな高値、ありえないだろ」。不動産業界の関係者らの多くがあっけにとられた。ヒューリックが5月に京浜急行電鉄から取得した東京都港区の大型ホテル「グランドニッコー東京 台場」。価格は600億円を超え、日本企業によるホテル売買の最高記録を更新したとみられる。

■金利低下が背景



 カギは「金利低下」だ。不動産は「利回り商品」の側面を持つ。年間500万円稼げるホテルを1億円で買うと、5%の利回りが得られる。「利回りは1%でいい」と割り切れば、購入価格は一気に5億円までつり上がる余地が生じる。
 「利回りのモノサシ」である長期金利は日銀の金融緩和でマイナス圏に沈む。これに引っ張られる形でグランドニッコーの購入時の利回りは2%台前半と異例の低水準となったもよう。最高値はこの裏返しだ。

 大規模緩和前のホテル物件(東京都心5区)の利回りは今より2%弱高かった。当時の利回りから逆算すると、グランドニッコーの価格は300億円台にとどまっていた計算になる。ヒューリックは宿泊単価や稼働率を改善させ、利回りを引き上げていく。

 「約300億円の当初運用枠はあっという間に埋まってしまいましたよ」。日本生命保険の関係者はこう話す。子会社が8月に運用を始めた私募形式の不動産投資信託(REIT)。「日本生命丸の内ガーデンタワー」(東京・千代田)などの優良物件に投資する。

 想定する利回りは3~4%。これに全国の地銀や年金基金などが飛びついた。運用の主軸だった国債の利回りは、リスクの高い40年物でも0.6%台。超低金利に追い詰められた「運用難民」たち。利回りを求めて不動産投資に群がり、相場をさらに押し上げる。

■新たな開発加速
 その帰結が不動産開発の急拡大だ。住友不動産は2021年度までに30棟のビルを開発する。延べ床面積は東京ドーム44個分にあたる。三菱地所は東京駅前で390メートルの超高層ビル開発に着手した。

 裏腹に市況の雲行きは怪しい。東京都心5区の大規模ビルの賃料は7月まで2カ月連続で低下。オフィス仲介の三幸エステート(東京・中央)は「賃料負担増につながる移転に慎重なテナントが多い」という。

 「低金利=不動産高騰」。こんな図式がもっと鮮明なのが、日本に先駆けてマイナス金利を導入した欧州だ。欧州連合(EU)全域の住宅価格指数は1~3月期に前年同期比で4%伸び、金融危機前のピークだった08年4~6月期以来の水準を回復した。

 ドイツやオーストリアなどだけでなく、不動産バブル崩壊で一時は財政危機に陥ったスペインでも住宅価格は上昇。政策金利をマイナス0.5%まで下げたスウェーデンでは住宅価格の伸び率が2ケタに達する。

 超低金利を背景に投資マネーが押し寄せ、不動産は利回り商品としての性格を強める。その過程で相場と乖離(かいり)して実需が置き去りにされるようなら、不動産市場の先行きは一気に不透明になってしまう。

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