なぜ、予防接種を受けないのかな? | ワクチン広場

なぜ、予防接種を受けないのかな?

この数年、予防接種が増えたことや、接種についてのこまごまとしたことが変更されていることもあって、予防接種についての情報が一般の方に伝えられたり、受身的にも目に触れたりする機会は増していると思います。その中で、予防接種を受けていない方に、ときにお会いすることがあります。それは母子健康手帳をみると空白であることでわかります。理由をお尋ねしても、必ずしも本当のことをお話になるとは限らないでしょうが、何らかの理由は必ずあるはずです。先日も、子どもの虐待を疑うのに、健診を全く受けていない、予防接種を受けていないことも契機になる(ネグレクト)と言われるくらいですよ、子どもはワクチンで護られる権利があると考えるからで、特別な理由があれば別ですが、不安や疑問があればお応えしますし、なければ、予防接種は受けてくださいと話したら、お怒りになられた方がありました。その方が虐待だと決め付けたのではない積りでしたが、決め付けられたと思われたのでしょう。つい最近、届いたアメリカの小児科学会誌に、思春期の子どもへの予防接種を受けない理由についての論文がでていました。子宮頸がんワクチンについて、他のワクチンよりも安全性についての情報提供がより必要であることが結論の一つでした。今、成人で風疹が流行していると報じられています。風疹そのものは病期の中では重症の方が多いという病気ではないでしょう。妊婦さんが罹患されることで、赤ちゃんに異常をきたし、所謂 先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれることが恐れられています。難聴、目の異常(白内障、領内症)先天性心疾患という三重苦を持った赤ちゃんが生まれるのです。その予防は、妊婦さんに感染させないこと、流行をさせないためには予防接種を行い、個人と集団を護ることです。流行規模が小さい状態が続いていたので、滅多に、先天性風疹症候群のお子様とお会いする機会はないでしょう。だから、一般の人に、病気の怖さが実感されていないと思います。予防接種がなければ、かつて沖縄県での流行で沢山の先天風疹児が生まれたようになることがわかっています。何が怖いかということ、予防する方法、ワクチンの安全性と効果が理解されて、初めて、予防しようという行動に結びつくのです。或る程度予防接種が行われて、病気に困っている人を目の辺りにする機会が少なくなっているので、病気の恐ろしさが理解され難くなっています。安全性に、100%の安全性を求められる人が多くなったように感じています。ワクチンによる発熱、局所の腫れ、発赤などは、本当の病気に罹ったときの症状に比べれば極めて軽微であっても、受け入れられない方はあります。ワクチンの安全性は高くあるべきであり、改良されるべきです。そのためには、ワクチン接種後に起こる有害事象は全て記録して、ワクチンとの因果関係を確認する必要があります。ワクチン接種後に起こったことが全てワクチンとの因果関係があるというわけではありません。でも、それが報じられると、因果関係ありと思い込まれる方も少なくありません。何となく怖いということを、接種するという行動にするには、客観性のある、安全性についての説明を、その方が納得されるまで受けられる場や時間が必要なのです。江戸時代に、種痘が導入されるときに、種痘をされると牛になると恐れた人が少なくなかったことが知られています。今では、笑い話でしょうが、当時は、笑えないことだったのです。今は、同じレベルで怖いと思われる方はないでしょうが、お子様のために、理解をして貰うことが大事だと思いますので、何が、どのように怖いのか、不安なのか、などお聞かせいただけると説明にも気をつかうことが出来るかと思います。