TBS系「Nスタ」が「ソーダ専門店」出店中止を報道!

昨日(7月31日)、TBS系のニュース番組「Nスタ」が、ソーダストリーム社が「ソーダ専門店」出店を中止したことを報じました。

番組は、イスラエル軍の攻撃によって多くの子供を含む市民に犠牲が出ているガザの現状を取り上げると同時に、イスラエル駐日大使のインタビューも行っていました。その上で、日本における「思わぬ影響」として、今日(8月1日)オープンする予定であったソーダ専門店の出店中止を取り上げました。また、イギリスでのボイコット運動による店舗閉鎖についても「ストップ!ソーダストリーム」キャンペーンHPからの映像とともに言及しました(写真下、画面左上の小さいキャプションに注意)。

この「出店中止」の件については、他のテレビ局からも当キャンペーンに取材があったのですが、そちらは上部の判断で番組にはなりませんでした。今のところテレビ報道では、この「Nスタ」が唯一この件を取り上げた番組ということになります。

番組では、ソーダストリーム日本法人のコメントとして「工場ではイスラエル人とパレスチナ人を正当に雇っていて両国の平和に貢献したい」という空々しい言葉を紹介しながら(写真下)、その工場がパレスチナ人から不法に取り上げた土地に作ったイスラエル入植地にあることへの言及がなく、限られた時間枠とは言え、説明不足の印象は免れえませんでした。

しかしながら、イスラエルに対する批判的報道に対し、多くのメディアが委縮してしまっている中で、ソーダストリームに対するボイコット運動を紹介したというだけでも、「Nスタ」の報道姿勢は評価すべきでしょう。

この間のマスメディアの論調には、番組のなかでイスラエル大使が主張する「自衛権の行使」「ハマスが民間人を人間の盾にしている」「(攻撃を始めた)ハマスが攻撃をやめるべき」といった、事実を歪めた議論を鵜呑みにしたものが多くありました。

たとえば、毎日新聞の大治朋子記者による「ガザ:イスラエルが猛爆 ハマスは「人間の盾」戦術」(7月21日付)や産経新聞の大内清記者による「ガザ情勢、住民被害増大の裏にハマスの「人間の盾」戦術 病院・学校に軍事拠点」(7月29日付)などはイスラエルプロパガンダに強く影響された記事の最たるものと言えるでしょう。

その点、カハノフ駐日大使の主張について、「世界各国のイスラエル大使たちは徹底的なプロパガンダに使っている」と客観的に評価し、「どんな主張があるにせよ、子どもが死んでいるという現実がありますから、それを避けることを最優先にしてほしい」という常識的な市民感覚に立って、イスラエルの政治主張から距離を取った「Nスタ」の報道姿勢には、他局も見習うべきものがあるように思います。本来あるべき「中立客観報道」とは、加害者と被害者のそれぞれの主張をただ並列することではなく、国際法基本的人権といった普遍的基準をベースに、市民の目線からの批判的主張をしっかりと打ち出すことだと思います。


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