IMF専務理事「多くの国でデフレの恐れ強まる」
【ワシントン=矢沢俊樹】国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は15日、ワシントン市内で講演し、日米欧などの先進国経済について「多くの国でインフレ率が中央銀行の目標を下回っており、デフレーション(物価の持続的下落)の恐れも強まっている」と指摘した。
ラガルド氏は足元の世界経済に関して2013年後半から回復の勢いが強まっているとして「14年はさらに上向く」との見方を示した。
ただ、IMFが世界経済の潜在成長力とみる4%を下回る見通しで、回復の仕方も「均一でなく、極めて弱い」。経済がより強固になるまで米連邦準備理事会(FRB)など主要中銀が緩和的な金融政策を継続する一方、各国政府が構造改革に取り組むよう求めた。
先進国でデフレが現実となれば「回復には壊滅的な打撃となる」と強調。「断固、デフレを退治する必要がある」と重ねて警戒を呼びかけた。
日本経済について「安倍政権の経済政策による押し上げ効果が少し弱まっている」と述べた。中期的には財政健全化策と成長に向けた構造改革が重要だとしながらも、短期的には「消費税増税のマイナス効果を相殺するため、一時的に財政刺激策が有効になるだろう」と語った。