連合が「残業代ゼロ法案」に反対するのをやめた意外にまともな理由
多くのサラリーマンには影響ないので…なぜ急に態度を変えたのか
安倍政権が進める「働き方改革」のひとつに、「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)の導入が盛り込まれている。これは、高収入の専門職について、残業代の支払い対象から除外するというものだ。
「残業代ゼロ法案」とも一部で揶揄されるこの制度に、態度を一変二変させているのが、連合(日本労働組合総連合会)の神津里季生会長である。
神津会長は7月13日、安倍首相に高プロ制度は修正すべきだと「直談判」。だが17日には条件付きで高プロの容認へと舵を切ったとの報道があった。このように連合の態度が変節するのには、どのようなウラがあるのか。
労働環境の改善を錦の御旗とする連合だが、1990年以降、就業者数を長期にわたり伸ばしたのは、小泉政権と安倍政権しかない。デフレ脱却に金融政策を使ったのがこの二つの政権の共通点だが、小泉政権では末期に量的緩和を解除し、結果的にデフレ脱却は達成できなかった。
この失敗を官房長官としてつぶさに観察していた安倍首相は、日銀の人事改革などをうまく調整し、金融政策を徹底すると腹を決めた。数字の上で見れば、失業率や有効求人倍率の改善は、過去の政権の中でもトップクラスのパフォーマンスを上げている。
もともと連合は左派であるはずの民進党を支援している団体だった。だが安倍政権がこのような業績を上げてきたために、政権との距離を縮めてきている。
本来であれば、神津会長が相談するべき相手は民進党の蓮舫代表のはずなのに、安倍首相に直談判に行くということは、相当民進党への不信が募っているのだろう。