エバンスさんを工場に案内し、工場の安全規則、生産性などの話をした丸富士課長。前回(長い英文もスッと頭に入るテクニック)、ランニングコストに関してエバンスさんから鋭い質問を受け、正確な数字で答えることが出来ませんでした。今回も工場での会話の続きです。エバンスさんの鋭い突っ込みは続くのでしょうか?

【リスニングにトライしてみよう!】

 今回は今までのものと比べると少しチャレンジ度の高い内容になっています。工場の機器に関してかなり込み入った話に展開していきます。特にエバンスさんがどんな意見を持っているのかを注意しながら聞き、話の流れについていけるように意識していきましょう!

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【今回のリスニングのコツは……】

 さて、今回はどんな単語が聞き取れましたか?今回は難しめの単語や表現も多かったかもしれません。それでも知っている単語・聞き取れた単語から内容を推測してみましょう!

 「new machines(新しい機械)」「old machines(古い機械)」「advantages(利点)」「high-tech(ハイテク)」「cost(コスト)」などの単語を聞き取れた方も多いかもしれません。「新しい機械、古い機械のコストや利点に関しての話」ということが推測できます。前回の話の続きだったので、大まかな方向は想像できたと思いますが、どんな利点があるのかこの後詳しく確認していきましょう。

会話文をチェック

【内容を確認してみよう!】

 では会話文のスクリプトと日本語訳を読んで内容を確認しましょう。

(原文)

Ms. Evans:Your machines are all new.

Mr. Marufuji:Yes, we're very proud of them.

Ms. Evans:Americans imagine Japan to be very high-tech.

Everyone has amazing cell phones, for example.
But a lot of Japanese factories have obsolete technology.

Mr. Marufuji:The recession has left little money for new machines.

We feel fortunate to have found the funds for these.

Ms. Evans:Keeping old machines does have its advantages.

Mr. Marufuji:Which are?

Ms. Evans:Old machines are usually written off.

So their cost is pretty small or zero.

Mr. Marufuji:I see your point, but I believe our machines were a wise investment.

Ms. Evans:Unfortunately, going high-tech hasn't contributed to your bottom line.

Without additional changes, the investment won't pay off.

(日本語訳)

エバンス氏:ここの機械はみな新しいですね。

丸富士氏:ええ、我々の自慢です。

エバンス氏:アメリカ人の持つ日本のイメージはハイテクですね。みんなすごい携帯電話を持っているとか。

しかし時代遅れの技術を使う日本の工場もたくさんあります。

丸富士氏:不景気で新しい機械を買うお金がないのです。

これらの購入資金を工面できたのは幸いでした。

エバンス氏:古い機械を使い続けるメリットもありますよ。

丸富士氏:どんなメリットですか?

エバンス氏:古い機械はたいてい減価償却されています。

そのためコストはとても小さいかゼロです。

丸富士氏:ああ、なるほど。でもこれらの機械は賢い投資だったと思います。

エバンス氏:残念ながらハイテクが収益に貢献していません。

追加の手を打たないと投資も活きてこないでしょう。

【詳しく会話の表現を見ていこう!】

 新しい機械の導入に自信を持っていた丸富士課長。今回もエバンスさんに新しい機械さえ導入すればいいわけではない!と一喝されてしまいました。ビジネス文書やTOEICテストに出てきそうな単語や表現が今回の会話でも使われていました。一緒に単語・表現を確認していきましょう!

使える表現(1) Yes, we're very proud of them.(ええ、我々の自慢です。)

 「be proud of ~」で「~が自慢だ」「~を誇りに思う」という意味です。丸富士課長が自信満々で新しい機械を紹介している様子が伝わってきます。対外的に自社のアピールをするときに使える表現です。ぜひ、プレゼン等で相手に印象付けたい時に使ってみてください。

We are very proud of our staff members.
私どもの従業員が自慢です。

We are very proud of our new facility.
私どもの新しい施設が自慢です。

We are very proud of our new product.
私どもの新しい製品が自慢です。

使える表現(2) Americans imagine Japan to be very high-tech.(アメリカ人の持つ日本のイメージはハイテクですね。)

 high-tech(ハイテク)は「和製英語」のような印象を持つ方もいるかもしれませんが、れっきとした英語表現です。tech はもちろん technology の略ですね。ここではハイフンでつないで「ハイテクの」という形容詞として使われています。ハイフンでつないだ形容詞は他にも以下のようなものがあります。

high-class「一流の」
high-risk「危険性の高い」
high-rise「建物が高層の」
high-performance「高性能の」

 「high-tech」という表現の他に「state of the art」「cutting-edge」「最新式の」「最先端の」という表現もあります。「今一番新しい」ということを伝えたい時に使える表現です。

【使える表現(3) The recession has left little money for new machines.(不景気で新しい機械を買うお金がないのです。)】

 「recession」で「不況」「不景気」「景気後退期」という意味です。「leave」は「去る」や「退く」という意味もありますが、「~を置いていく・残す」という意味があります。今回は「The recession(不景気)」が「little money」を残した…ということを言っています。

 第3回(自分の意見を英語で正しく伝える)でfew(ほとんどない)を紹介しましたが、このlittleも同じく「ほとんどない」という意味です。というわけで、この文章は「不景気の結果、新しい機械を購入する資金がほとんどなくなった」という意味になります。

【使える表現(4) Old machines are usually written off. (古い機械はたいてい減価償却されています。)】

 「write off」は日常会話ではあまり耳にしたことがないかもしれません。減価償却するというビジネスネスフレーズです。今回は古い機械(old machines)が減価償却された(be written off )と受動態になっています。

This equipment was written off in ten years.
(この設備は10年で償却された)

【使える表現(5) I see your point, but…(ああ、なるほど、でも…)】

 I see your point」で「あなたのおっしゃっていること(ポイント)はわかりました」という意味です。その直後に「but」で続けることで、一度相手の意見を受け止め、その後自分の意見を伝えることができます。ミーティング等で反対意見を言う前に、使えるフレーズです。意見交換をする際に使える表現は他にも以下のようなものがあります。

I see what you are getting at, but…
(おっしゃっていることはわかるのですが…)

That’s certainly a valid point. On the other hand,…
(それは確かに正当なポイントですね。しかし一方では…)

【使える表現(6) Without additional changes, the investment won't pay off. (追加の手を打たないと投資も活きてこないでしょう。)】

 「pay off」は「うまくいく、期待した成果を上げる」という意味の口語表現です。ビジネスシーンで使われるときは、「利益をもたらす、儲かる」の意味合いを含むことは言うまでもありませんね。

【声に出して練習してみましょう!】
 それぞれの表現・単語の意味やニュアンスが分かったところで、トレーニングに移りましょう!①会話文の音声の確認、②音声とともに音読(オーバーラッピング)、③特に使えるようになりたい表現を何も見ないで言えるようになるまで音読してみましょう。

 「I see your point, but…」はミーティング等で使いやすい表現です。実際に使う場面を想像しながら、練習をしてみましょう! 「but…」の後も自分なりに文章を作って言ってみてもいいでしょう。

Keep going!(その調子で!)

 では、次回まで繰り返し練習を頑張ってください!

 See you next time!

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