天国の祖父へ惜別の勝利をささげた。DeNAジョー・ウィーランド投手(27)が先発マウンドに立った。「確かに気持ちの入る試合だった」。先頭打者の巨人立岡を3球三振に仕留めると、続く橋本も145キロの直球で三振。2回には5番マギーから3者連続三振。直球とツーシーム、そして大きく落ちるナックルカーブが冴え渡った。特に直球は「常に全力で(腕を)振っているわけではない。ときには力を抜いて、ここぞというときは全力で振る」。速い直球と遅い直球まで使い分け5回まで無失点が続いた。

 6回に左翼越え本塁打を浴びたが6回4安打2失点で今季2勝目。104球の安定の投球には、4月29日に91歳で亡くなった祖父への思いが込められていた。「祖父は僕の1番のファンであり、1番の批判家でもあった。人生の中で大きな存在。今日は最前席で見てくれたと思う」。ジョーという名は祖父の名前が由来だったという。

 1月に来日した1週間前に会いに向かった。「きっとそれが最後になると思っていた。ずっと具合が悪かったので、ここまで長く生きたことが奇跡」。一時帰国をするために、中5日で登板。しかし家族と相談し「体のことや、チームのことを考えると、そう簡単には帰れない。一緒に戦いたかった」と、祖父との再会はシーズン後に決めた。

 「シーズンが終われば会いに行ける。今、チームは勝ったり負けたりしているけど、1つ歯車が合えば、爆発的にいけると感じている」。ウィーランドの確固たる決意が、チームをまた1つ強くする。