ヤマダ電機が改装オープンした「YAMADA IKEBUKUROアウトレット・リユース&TAX FREE館」(東京都豊島区)
ヤマダ電機が改装オープンした「YAMADA IKEBUKUROアウトレット・リユース&TAX FREE館」(東京都豊島区)

 東京有数の繁華街の1つで、家電量販店の激戦区としても知られる池袋駅前。この地域に1月末、改装を終えたヤマダ電機の店舗がオープンした。

 この店「YAMADA IKEBUKURO アウトレット・リユース&TAX FREE館」は、もとは携帯電話やパソコンと周辺機器を中心に扱う「LABI1(ラビワン) 池袋モバイルドリーム館」だった。地下1階から地上7階までの8フロアで約3479㎡という売り場面積は改装前と同じだが、その構成は従来と大きく異なる。

中古品の洗浄・点検をVTR紹介

 まず消費者から買い取った中古家電を、グループの自社工場で洗浄・点検し売り出す「リユース」商品と、メーカーが生産を終えた商品や型落ちしたものを含む「アウトレット」商品の販売コーナーを3~5階の3フロア設けたこと。3階の冷蔵庫や洗濯機売り場を訪れると、中古品の洗浄・点検工程を紹介するVTRを流し、商品の信頼性を買い物客に訴えていた。パソコンの修理・サポートのサービスも加えた。

 もう1つの特徴が、高級ブランドを買い取り・販売する「ブランドオフ」をテナントに迎えたこと。ブランドオフはこれまでにヤマダの新宿、新橋の店舗でテナントとして入っている。全フロアを免税対応にもした。

 アウトレット・リユース&TAX FREE館の近くには、ヤマダの国内店舗で有数の売り上げを誇る「LABI1 日本総本店池袋」がある。こちらは最新の家電製品を幅広く取り揃え、グループで展開する住宅コーナーなども設けている。

 ヤマダは2015年、不採算の約60店を閉鎖。アウトレット店への転換も進めた。一方で「LABIアメニティー&TAXFREE新橋銀座口店」など、免税対応の店舗を次々と開いた。

 池袋のアウトレット・リユース&TAX FREE館は、アウトレットと免税両方の機能を融合し、国内客と訪日外国人、両方の買い物需要を取り込むことを狙う。ヤマダ広報部は、今回の改装を通じて「客層の幅が広がり、新規の顧客獲得につながっている」としている。

歌舞伎町にオープンした「ビックドラッグ シダックス新宿セントラルロード店」(東京都新宿区)(写真は外観イメージ)
歌舞伎町にオープンした「ビックドラッグ シダックス新宿セントラルロード店」(東京都新宿区)(写真は外観イメージ)

ビックはカラオケ併設店

 ビックカメラも新業態の出店に乗り出している。主力店で医薬品や日用品を扱う専門売り場「ビックドラッグ」を切り出し、カラオケ大手シダックスと組み合わせた店舗を、東京・新宿の繁華街、歌舞伎町に昨年12月オープンした。この「ビックドラッグ シダックス新宿セントラルロード店」は、地下1階~地上10階の構成で、地下1階と1階にビックドラッグが入る。免税品の売り上げ上位に入る家電も扱う。2~10階がシダックスグループ運営のカラオケとなっている。

 ビックカメラは同店の近くに新宿東口駅前店と、ユニクロとの共同店舗「ビックロ」を展開する。これらの店舗と棲み分けながら、訪日外国人と、歌舞伎町を訪れる日本人客の需要を取り込む狙いだ。売り上げは「当初計画通り順調に推移している」(広報・IR部)という。

 家電量販業界ではヒット商品の不在が続く。2017年4月に予定される消費税率10%への引き上げを前にした駆け込み需要や、20年の東京五輪が近付くにつれて4Kテレビの販売が伸びるといった動きは期待できるが、国内需要の縮小傾向に歯止めをかけるのは難しい。

 加えて訪日外国人の中心を担う中国景気の先行きへの不透明感から、「爆買い」が落ち込むことへの懸念も出ている。ラオックスは2月12日、2016年12月期の連結営業利益が、前期比18%減の70億円になる見通しと発表した。円高による客数の減少や、客単価の下落などを見込んでいる。

 国内客と訪日外国人客を両方取り込むべく、各社が苦心して出した異色の店舗の数々。出足は順調なものの、思惑通り二兎を追い続けることが出来るかは予断を許さない。

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