関西の議論

大阪の子供は虫歯治療をしない!? 部活、習い事、ネグレクトの疑い、口腔崩壊の子も…歯科検診で広がる「格差」

【関西の議論】大阪の子供は虫歯治療をしない!? 部活、習い事、ネグレクトの疑い、口腔崩壊の子も…歯科検診で広がる「格差」
【関西の議論】大阪の子供は虫歯治療をしない!? 部活、習い事、ネグレクトの疑い、口腔崩壊の子も…歯科検診で広がる「格差」
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 昨年大阪府と宮城県、長野県で行われた調査で、小中学校の歯科検診で要受診と判断されても受診しない子供がいずれも約半数にのぼっていることが判明した。乳歯だからと放置したり、治療よりも部活動や習い事を優先させたりするほか、ネグレクトが疑われる例も。全体として子供の虫歯が減る中で、「口腔(こうくう)格差」が広がっている。(加納裕子)

「要治療」の半数しか治療しない!

 「入学当初より乳歯20本中18本が虫歯」(小学校)「健康な歯が4本しか残っていない状態でほとんどの歯は黒く、溶けてすきっ歯になっている状態」(中学校)

 大阪府歯科保険医協会(大阪市)が昨年12月、府内の公立小中学校を対象に行った学校歯科治療調査。自由記述欄には、養護教諭らが直面する痛々しい実例が多数、記されていた。

 小学校では歯科検診を受けた子供のうち要受診とされたのは36・2%。このうち実際に受診し治療報告書を提出したのは48・6%で、治療が必要な子供の半数以上は受診しなかったことになる。中学校ではさらに深刻で、受診率は25・9%にとどまっていた。

 同協会では平成24年から調査を継続しているが、3年とも同じ傾向。同協会副理事長の歯科医、戸井逸美さん(64)は「未処置の虫歯がある子供が30%以上もいて、そのうち半数以下しか受診していない。歯科医の感覚としては8~9割は受診しているかと思っていたので驚いた」と振り返る。

 なぜ虫歯の子供を治療に行かせないのか。養護教諭が考える原因は、ネグレクトを含む親の意識の低さがトップ。子供の部活動や習い事を優先して受診させなかったり、乳歯はいずれ生え替わるとして放置したりする親もいたという。

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