島根県出雲市産の高級のりとして知られる「十六島(うっぷるい)のり」が、江戸時代初期に松江藩主から幕府の要人に贈答品として贈られていたことを示す書状が見つかり、松江市が17日、松江歴史館で公開を始めた。
書いたのは、幕府の権力確立に貢献した僧・金地院崇伝。「名物の十六嶋(十六島のり)1箱をお贈りいただき、感謝します」などと記している。のりの贈り主は当時の松江藩主・堀尾忠晴で、書状の日付(12月20日)から歳暮だったとみられ、文面からは忠晴がたびたび十六島のりを贈っていた様子がうかがえる。
十六島のりは、出雲市十六島町の岩場で採れるノリで作られ、きめ細かさや香りの上品さなどから高級のりとして人気が高い。古くは奈良時代の書物「出雲国風土記」にも、こののりを評価する記述がみえる。
同館では「江戸初期には松江藩の贈答品として十六島のりが使われ、もらう側も出雲国の名物ブランドとして認知していたことを示す興味深い資料だ」としている。