今の時代、友達を作ることは本当に簡単になりました。必要なのは、少しの度胸と自信、そしてソーシャルメディアを使う最低限のリテラシー、といったところでしょう。

でも、「赤の他人」や「別に親しいわけではない友達」との距離が縮まったいっぽう、「本当に仲のいい友達」や「家族」との距離はどうなったでしょうか?

オランダの起業家、Constance Scholten(コンスタンス・スコルテン)氏は、「親友と過ごす時間をつくるのは本当に難しくなった」と言います。

仕事、趣味、子育てなど、私たちの生活はとにかく「やらなければいけないこと」とか「やりたいこと」に囲まれていて、気づけば仲の良かった友達とは何年も会っていないなんてよくある話。ただ、Facebookへの投稿さえ欠かさないようにすれば、とりあえず"活動的"な体裁は保つことはできます。

でも、本当にそれでいいのか? 

「ゆるいつながり」が強調される世の中ですが、本当に仲の良い友達からしか得られないものも多い。それに、親友や家族から得られる精神的な支えはやっぱり心強い。

そんな、ある意味、回帰的なアイデアから生まれたのが、Camarilla(カマリラ)です。「世界最小のSNS」をうたうCamarillaが伝えたいメッセージは明確で、わかりやすい。

Some moments in life are only for your closesest friends.

 (人生には本当に親しい友達だけに公開したいことがある)

15人までしか登録できないメリット

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Camarillaのコファウンダー及びCEOのConstance Scholten氏。

2017年3月の終わり、東京で開催された世界的なスタートアップの祭典であるSlush Tokyoに登壇したScholten氏は、メインステージでスピーチを披露しました。

スピーチの内容をまとめると、Camarillaの特徴は以下の2つになります。

・少人数制であること。(15人しか登録できない)

・クローズドなコミュニケーションであること。(つまり、投稿してユーザーが見に来るのではなく、それぞれの友達にダイレクトに投稿内容が送られる1対1のコミュニケーション)

ユーザー目線で考えれば、Camarillaで投稿するのはかなり楽しい経験になるでしょう。FacebookやTwitterでは、親しい人も親しくない人もごっちゃになっているのでなかなか自由に発言しにくいですが、気心の知れた親友だけのSNSであれば話は別だからです。「なんて言って投稿しようか」とか「こう言ったら誤解を招くか」とか細かいことを確認しなくていいなら、気疲れしなくて済むはずです。

"ソーシャル疲れ"への処方箋?

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Camarillaが考えるソーシャルサービスの業界地図。親しい友達のレイヤー以外には他のソーシャルサービスがたくさん存在することがわかる。

つまるところ、Camarillaは「つながりすぎたSNS」に対するアンチテーゼと言えるのかもしれません。今どき、FacebookやTwitterに投稿する前に"投稿する内容をよく考える"のは当たり前ですが、よく考えないで投稿するリスクが大きくなったから、とも言えます。

恐ろしいのは、友達ならきっと理解してくれるだろうと思って投稿したことが、シェアされるうちに独り歩きして、誤解されてしまうこと。

親友だけのSNSであれば、投稿を気にかける必要はほとんどなくなるでしょう。

Camarillaは2016年9月にローンチされたばかりの新しいサービスですが、ユーザーの分布は急速に広がっていて、すでに世界157カ国にユーザーがいるそうです。

興味のある方は一度、この小さなSNSを試してみてはいかがでしょう。

Camarilla

(文・写真/大嶋拓人)