ゆり園の斜面。
そのいたるところに空けられた穴。
さんさんと降り注ぐ陽光を受けニョキニョキと伸びるゆりたちの、
その間を縫うようにポコポコと空いている穴。
穴にはそれぞれ「割りばし」が寝かされておりまして、一見宗教的な儀式が行われているのか、はたまた地底に潜む「何か」を鎮めるためのパイルバンカーなのか……と思われそうですが。
よく見るとゆりの球根が植わっているだけでした。
スカブコーラルでも抑え込んでいるのかと思ってドキドキしましたが、ほっとしました。
「西日本最大級360万輪」を謳うこのダイナランドゆり園。
よく、「毎年360万輪もの花を植えるなんて……大変ですね」と言われますが、実際には少し違います。
ごらんのとおり、ゆりは「球根」を持つ植物で、いわゆる「多年草」といわれる部類に属します。
その年の花が散った後も土の中で越冬し、また同じ球根から芽を出して翌年花を咲かせることができる植物なんですね。
なので、毎年360万輪のゆりすべてを植えなおしている、というわけではないんです。
ただ――、
↑↑↑のようなことをやんわりご存じの方からはこんど、
「ゆりは毎年花を咲かせるから楽ちんだね」
「毎年球根を追加してるから、年々数が増えるんじゃないの?」
というようなお話しをされることもまれにありますが、これもまた少し違います。
同じ一つの球根は、生長にともないどんどん痩せていきます。
もちろん土の中の養分や、葉っぱでの光合成でできた栄養を蓄えたりしますが、すべての球根でそのサイクルが完全に機能するとは限りません。
なので、その年は花をつけたが翌年は花を咲かせなかったもの、そのまま枯れてしまったものなどが確実に存在します。
ほかにも、病気にかかってしまったものや動物に食べられてしまったものもあり、放っておくと年々ゆりは数を減らしてしまいます。
というわけで、
例年この時期になると、ゆり園のスタッフが一つ一つ球根植えを行っており、この「360万輪」という数字を維持しているのですね。
地元の奥様方にもお手伝いいただいて、作業を進めていきます。
もちろん、前の年に捕植したエリアや、花をつける時期も考慮し、球根の数や色・種類などもしっかり考えて植えています。
▲スタッフのわんちゃんもお手伝いに来ていました
ちなみに、先ほど出ていた「割りばし」は、球根を植えた場所を示す目印になります。
すでにゆりを植えた場所に穴を掘ったり、草刈りをするときにゆりの芽を刈ってしまわないようにするための工夫なんですね。
今はまだ緑の風景が広がる「ダイナランドゆり園」ですが、こうした作業の末、ゆくゆくは一面の花畑になっていくことでしょう。
たのしみです。
久しぶりに長文を書いたらちょっと疲れた、
ぽっちゃり ちゃんこ主任でした。