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鳩山政権、県外断念の根拠 65カイリ基準存在せず 普天間飛行場移設


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
外務省が作成したとみられる「普天間移設問題に関する米側からの説明」と題した政府内部文書(極秘)

 2010年に当時の鳩山政権が米軍普天間飛行場の鹿児島県・徳之島移設を検討した際、ヘリコプター部隊と演習場の距離を65カイリ(約120キロ)以内とする米軍の「基準」に基づき困難とされた件で、在沖米海兵隊が26日までに琉球新報の取材に答え「海兵隊の公式な基準、規則にはない」との見解を示した。

 当時、普天間の県外移設を模索し、行き詰まっていた鳩山政権は政権終盤、沖縄本島から約200キロ離れた徳之島への移設に注目していた。海兵隊内部でも不明な「基準」を根拠に県外移設を断念していたことが明らかになった。

 同年4月19日付の「普天間移設問題に関する米側からの説明」と題した、外務省作成とみられる政府の内部文書(極秘)によると、在日米大使館で同日、日米の担当者が協議した。

 文書によると、65カイリについて米側は「回転翼航空部隊の拠点と同部隊が(陸上部隊と)恒常的に訓練を行うための拠点との間の距離に関する基準であり、米軍のマニュアルに明記されている」と説明。「この基準を超える例があるか調べたが、全世界的になく、最も距離のある例でも35カイリ(約65キロ)」とした。

 65カイリ以内とする理由については、普天間のヘリ部隊を徳之島へ移設した場合、部隊内の最も速度の遅い機種が沖縄本島で1時間の訓練をするのに計4時間以上かかると説明した。機体が水域上空を移動することなども挙げ「パイロットのストレス、機材の摩耗、燃料費の増大のコスト等を考慮しなければならず、全く持続可能ではない」と指摘した。

 防衛省は本紙の取材に対し、65カイリの「基準」について「米軍の運用のことなので知らない。省としては『陸上部隊と航空部隊の一体性を確保する必要があり、なるべく近くに位置する必要がある』と説明している」と回答した。(内間健友)