既に、被疑者の供述は、自分がやったかどうかわからない、といったものに後退していると報じられていて、起訴されれば否認事件になる可能性が高く/落合洋司弁護士

過去に、冤罪とされたり、無罪になったような事件で、自白以外にさしたる証拠がない、秘密の暴露や客観的な裏付けがない、というものはかなりあります。そうした証拠構造の事件では、自白の信用性が厳しく問われることになりますが、客観的な状況と矛盾していたり裏付けができない、ということになると、自白の信用性に重大な疑問が生じ、他にさしたる証拠がない以上、無罪、ということになってしまいます。本件でも、おそらく、そのような証拠構造、証拠上の問題があり、富山地検は、これでは公判が維持できず有罪判決は獲得できない、と判断したのでしょう。妥当か妥当ではないかは、直ちに判断できないものの、報じられるところから推測される事情に照らすと、あり得る判断、ということは感じます。こうなってしまったことについては、放火されていて現場における証拠収集ができなかった(燃えてしまって)ということも、おそらく大きく影響しているでしょう。

今後については、捜査当局が継続捜査をして、新たな証拠を確保して起訴に持ち込むという方法と、検察審査会で起訴相当議決が出て強制起訴へ持ち込まれるという、2つの道があります。前者は、既に徹底した捜査が行われている以上、相当困難でしょう。それに比べて、後者は、ある程度の可能性はありますが、既に、被疑者の供述は、自分がやったかどうかわからない、といったものに後退していると報じられていて、起訴されれば否認事件になる可能性が高く、そうなった場合、かなり事実認定が難しい裁判員裁判になることは確実でしょう。

引用:2013-07-25 – 弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」

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