福島原発2号機、プールの水温低下 代替冷却が機能
東電発表、1・3・4号機プールにも設置へ
東京電力は2日、福島第1原子力発電所2号機の使用済み核燃料プールに取り付けた代替冷却システムが機能し、水温が順調に下がっていると発表した。稼働前にセ氏70度程度だったプールの水温は2日午前5時時点で42度に低下した。プールの水を冷まして水蒸気の発生を抑えられれば作業環境を改善でき、汚染水の増加も防げるとみている。今後、同様のシステムを1、3、4号機のプールにも設置する。
システムは核燃料が放つ熱で温まったプールの水を熱交換器と屋外の空冷塔で冷ましてプールに戻す「循環冷却」ができる。5月31日に稼働した。
2号機の建屋内は湿度が100%に近く、長時間の作業が難しい。プールから出る水蒸気を抑えれば湿度を下げられる。これまでは外から配管を通して定期的に冷たい水を入れていたが、循環冷却では同じ水を使う。安定した冷却が可能になり、新たな汚染水の発生も防げる。
一方、東電は原子炉建屋などにたまった汚染水の移送先として、新たに2つの建屋の使用を検討し始めた。集中廃棄物処理施設にある「サイトバンカ建屋」と「焼却工作室建屋」で、それぞれ2000トンと4000トンの容量がある。近く止水工事などを進める。
福島第1原発では、原子炉へ注いだ水の漏洩や雨水の流入により汚染水が増え続けている。2、3号機から高濃度の汚染水を移していた建屋はすでに予定の容量に達し、移送を中断した。汚染水の浄化装置は2週間後の稼働予定で、新たな移送先の確保が急務になっている。浄化処理が軌道に乗るまでは、汚染水の移送や貯蔵は綱渡りの状態が続きそうだ。
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