「国策報道」が効果を発揮すればするほど、国の言いなりになる・・・自分の頭で刑事裁判を考えようとする国民・市民は逆に減少する/裁判員いらなインコ

マス・メディアが裁判員制度について「国策報道」の役割を担っていることからすれば、このような「模範解答」も容易に了解し得るところであろう。

 しかし、この「国策報道」が効果を発揮すればするほど、国の言いなりになる、すなわち、「統治客体意識」を持った国民・市民が醸成され、自分の頭で刑事裁判を考えようとする国民・市民は逆に減少する。現に、最高裁が実施した意識調査ではそのような結果になっている。国の真の目的は、「統治主体意識の涵養」ではなく「統治客体意識の涵養」ではなかったのかというような疑いさえも生ずる。

 ここで脳裏に浮かぶのは、国連憲章、世界人権宣言、そして、各種の国際人権規約などが一致してその再発の防止に努めているファシズムの問題である。国連憲章は、ファシズムとそれによる戦争の防止が国連の最大の目的であると謳っている。日本国憲法やサンフランシスコ講和条約も、このような立場に立っている。

 しかし、国の側だけではファシズムは成立しない。ファシズムの成立には、国民・市民の動員も不可欠である。全体主義国家の構築のために国と国民・市民が一致協力する。それによって「法の支配」を超えた統治を実現させる。「障害物」はすべて除去していく。そのためには、マス・メディアの統制がキーとなる。国民・市民の動員にはマス・メディアが欠かせないからである。「国民世論」をでっち上げ、この鋳型の中に国民・市民を押し込んでいく。押し込めない者は「非国民」扱いし、排除する。統制されたマス・メディアはファシズムの「生みの親」ともいえる。ナチス・ドイツでは、国家宣伝と国民指導を目的とする「国民啓発・宣伝省」が置かれたことが、そして、ファシズム日本でも、戦争に向けた世論形成と思想取締り及び国家宣伝の強化等を目的として「情報局」が置かれたことが想起される。

 ちなみに、朝日新聞の主筆を務め、朝日新聞を退社後、小磯内閣の下で国務大臣兼情報局総裁として入閣した緒方竹虎は、戦後、次のように述懐したという。

 「日本の大新聞が、満州事変直後からでも、筆を揃えて軍の無軌道を警め、その横暴と戦っていたら、太平洋戦争はあるいは防ぎ得たのではないかと考える」

 玉音放送の際の情報局総裁も、朝日新聞で専務・副社長を歴任し、日本放送協会会長も務めた下村宏であった。国によって統制されたマス・メディアは、マス・メディアを統制し、国民を指導する側に回ったのである。

引用:菊池事件と裁判員裁判|トピックス|裁判員制度はいらないインコのウェヴ大運動

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